Thrilling Tsurilling

大きな魚を手軽に釣ろう

ミミズ箱から得られた知見

実験と大惨事の教訓

釣り用ミミズ箱Ⅹおよび実験用ミミズ箱1~3号、そして4号5号からは、いくつかの知見が得られた。推測の域を出ないが、ここでは、小さな進歩の糧となった知見をまとめる。まとめてはいるが、すべての出来事を書いているわけではないので、断片的ではある。なので、詳細は各ミミズ箱の説明を読んでいただきたい。私はこの多種類のミミズの飼育の中から、ヒトツモンミミズっぽいミミズをより分け、そいつらだけを飼育する最適な条件をひとまずうまく見つけることが目的となっていた。(途中からノラクラミミズっぽいミミズにも手を出した)

 

 

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​目次

 

釣り用ミミズ箱Ⅹから推測されること

・シマミミズは、「熊太郎」「天然みみず」の詰め物を混ぜた飼育環境下でフトミミズと同居しても元気であり、繁殖もする。

・フトミミズは、上記環境下で小さな発泡ケース内でも何故かおおむね元気である。大型のヒトツモンミミズっぽいミミズだけは、1週間ほどで息絶えてしまう。

・フトミミズは、シマミミズの糞を食べているのではないか。「シマミミズは未発酵の植物を食べ、腐植を輩出する」との専門家の記載を確認している(調査中)

 

​・釣り用ミミズ箱Xの詰め物を「金子ミミズちゃん追加床土」と「熊太郎のパッケージに入っているペーパースラッジ」の混合物に替えたが、やはりミミズは元気である。シマミミズとフトミミズの同居には何らかの効果がありそうだ

・2017年、「NPS2.0-F(ミミズ箱1号αのページで作り方を説明している)」を床土として釣り用ミミズ箱X2にヒトツモンミミズっぽいミミズ、フトスジミミズっぽいミミズ、ノラクラミミズっぽいミミズを同居させているが釣りで使って消費していく分には一匹もミミズを失わずに飼育ができている。シマミミズを入れたらどうなるかは不明(調査中)

・釣り用ミミズ箱X2の床土としてNPS2.0-Fを使っていると、釣りに使用する際にミミズの体内からNPS2.0-Fが出てくることがある。これは明らかにNPS2.0-Fを「食べている」証拠であると言える。

 

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ミミズ箱1号αから推測されること

・シマミミズが好む餌とされているコーヒーカスだが、酢酸菌の発生が原因とみられる酸性化らしき現象でミミズは全滅するため、コーヒーカスだけでの飼育には向かない。(調査終了)

 

・クワガタ用オガコマットでは、ヒトツモンミミズっぽいミミズは生きられなさそうだ。(調査終了)

 

・「ニセペーパースラッジ」およそ3リットルに食品用のココナッツ繊維粉末50gを混ぜると1週間ほど発酵を続ける

 

・​発酵の終わった食品用ココナッツ繊維を混ぜた「ニセペーパースラッジ」でも、ミミズは生きられないようだ。(調査終了)

 

・ニセペーパースラッジと金子ミミズちゃん追加床土を半々に入れた箱の中で、ヒトツモンミミズっぽいミミズたちは寝床とエサ場を行き来して生活できるようだ。金子ミミズちゃん追加床土を食べた糞とみられるモノがニセペーパースラッジ表面に多数発見できた。(調査終了)

 

・ニセペーパースラッジと金子ミミズちゃん追加床土を半々に居れてヒトツモンミミズっぽいミミズを飼うと、飼育3週間あたりから主にニセペーパースラッジと部分に白カビが生じてくる。(調査終了)

 

・寝床であるニセペーパースラッジに白カビが高密度に発生するとフトミミズの巣穴をふさいでしまい、ミミズが生きていけない環境になるようだ。(調査終了)

 

・ニセペーパースラッジと腐葉土を半々に入れた箱では、腐葉土だけ目に見えて嵩が減っていくことから、ミミズは腐葉土を食べ、ニセペーパースラッジ内の巣穴で糞をするという生活が可能であると考えられる。(調査終了)

 

ニセペーパースラッジと腐葉土を半々に入れた箱で、ヒトツモンミミズっぽいミミズの子供と思われるミミズを発見した。生まれたてではなさそうだったので、箱への投入初期に交接して卵胞を生み、それが孵って少し育ったものだと思われる。その一連の活動がこの飼育環境下では可能であることが示された。(調査終了)

・ニセペーパースラッジと腐葉土を半々に入れた箱において、飼育1か月を目前にミミズが半分近く相次いで力尽きたことが確認された。これは箱内の水分がミミズの排泄によって汚染されて行くためであると考えられ、おそらく2週間に1度程度、床土を交換することによって防ぐことができる。(調査終了)

​​

・新しい床土として開発し、ミミズ箱1号αで実験を開始したNPS2.0-Fをヒトツモンミミズっぽいミミズが食べ、糞塊を残しているのが確認された。ミミズ長持ち&栄養たっぷりの床土に一歩近づいた可能性が高い。

・「NPS2.0-F」での飼育1か月半で、5リットル容器で15匹入れたうちの約6割のミミズが床土の交換なしでよく太ったまま生存することを確認した。(調査終了)

・「NPS2.0-F」での飼育1か月半で、ミミズたちが床土中に卵胞を残していることが確認された。これが孵化するところを観察できれば、小さな閉鎖系での繁殖の完全な証明となる。(孵化は確認されなかった)

・「NPS2.0-F」でヒトツモンミミズっぽいミミズが秋から春にかけての半年以上のあいだ、痩せることなく飼育可能である事がわかった。この結果とミミズ箱3号αでの腐葉土での飼育実験から推測するに、腐葉土をミキサーにかけてまぜこむことでミミズはエサ不足に陥らないことが判明した。この結果によって、冬場にミミズが取れない時期の釣りエサとしてのミミズ飼育においては、ほぼすべての問題が解決されたと言ってもいいだろう。この箱では飼育は1年をめざし、残された卵胞から生まれたミミズを環帯が出来るまで育成することも目指す。ミミズの過密飼育の問題は、他の箱に譲ることにする​。(子ミミズは行方不明になってしまい調査終了)

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ミミズ箱2号αから推測されること

・「ニセペーパースラッジ」はヒトツモンミミズっぽいミミズのエサになるか不明であるが、1か月半程度の保存は可能である。(調査終了)

​・ニセペーパースラッジだけで飼ったヒトツモンミミズっぽいミミズは、少しずつ栄養失調で痩せて行き、2か月を待たず飢えて力尽きてしまう(調査終了)

 

​・ニセペーパースラッジと、購入したときに入っていたペーパースラッジを寝床として、シマミミズとみられる「ミミズちゃん熊太郎」は1か月半以上保存可能である。

 

​・熊太郎はニセペーパースラッジとペーパースラッジを一緒に入れた容器で飼育すると、ペーパースラッジを選択的に食べる。(調査終了)

 

・シマミミズをしばらく飼ったペーパースラッジ・ニセペーパースラッジの混合容器でシマミミズの糞塊を食べさせてフトミミズを飼育しようと試みたが、おそらく下で考察している過密飼育の原因、「水分の汚染」によってシマミミズは大丈夫でも、フトミミズは長く生きられないようだった。(調査終了)

・「熊太郎スーパー太虫」とヒトツモンミミズっぽいミミズの同居によって、ヒトツモンミミズっぽいミミズの過密飼育が加速されることはなかった。それどころか、息絶えたミミズを熊太郎が無害な形に替えてくれている可能性が高いことがわかった。(調査終了)

・フトミミズは、自分の掘った巣穴が崩れないように体液で巣穴の周りの土を固める。この行動をシマミミズである熊太郎は行わないため、過密飼育に寄与しないのだろう。

・フトミミズが巣穴を固めるための分泌物すらも、熊太郎は栄養に変えている可能性があり、そのために箱内の水分が清潔に保たれると考えられる(調査終了)

・「熊太郎スーパー太虫」とヒトツモンミミズっぽいミミズの2か月半に及ぶ同居によって、ヒトツモンミミズっぽいミミズは、後天的にその姿を変え、色、質感、動き方、等々がシマミミズに似る。こういったことに知見がおありの方、研究対象として興味がおありの方は、ぜひ連絡をいただきたい。

・「熊太郎スーパー太虫」とヒトツモンミミズっぽいミミズの同居は、3か月半経過でヒトツモンミミズっぽいミミズだけ全滅という形で幕を閉じた。後天的に姿を変えたという考察は、ただ弱っていただけという可能性がある。結局、ツリミミズ科のミミズの混在がフトミミズ飼育に及ぼす影響というのは、終わってみれば「フトミミズの亡骸を腐る前に綺麗にしてくれる」「分泌物を食べる」という事による水分汚染の防止だけだったのかもしれない。(調査終了)


ミミズ箱2号βから推測されること

・「NPS2.0-F」を用いて床土の上から給水、床土の下から排水という形をとっても床土の形状は大きく崩れることはなく、ずぶ濡れにはなるもののヒトツモンミミズっぽいミミズは3週間元気に生存することを確認した。(調査終了)

・飼育箱上部に給水穴、下部に排水穴を設け、「NPS2.0-F」を床土とし、週に500mlの水を給水、4週に1度腐葉土(ふかふかで500mlと、それがひたひたになるだけの水)をミキサーにかけたものを入れてやることで、密閉容器では不可能だった13匹以上/床土5Lでの高密度の長期飼育が可能である事が確認できた。(箱破損により調査終了)

 

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ミミズ箱3号αから推測されること

・「金子ミミズちゃん追加床土」にはヒトツモンミミズっぽいミミズは深く潜り、あまり姿を現さないが、表面に出てきたときは、過密飼育が原因とみられる突然死であった。また、表面で力尽きないミミズたちも、飼育1か月~1か月半の間に溶けていなくなってしまった。金子ミミズちゃん追加床土だけで、フトミミズを飼うことは出来なさそうだ。(調査終了)

 

・「金子ミミズちゃん追加床土」で飼育したミミズの卵胞らしきものが、箱内表面に置いた新聞紙の下から発見された。まだ卵かどうかははっきりわからない。​(調査中:おそらくこれは卵胞ではないと思われる

 

・腐葉土を詰めた箱で、ミミズは2週間ほどは非常に元気であるが1か月で約1/4が失われた。これもミミズの排泄による箱内の汚染であると考えられる。床土を頻繁に交換してやればこれは防ぐことができそうだ。(調査終了)

・閉鎖系での腐葉土による飼育で、過密飼育でなければ半年以上の飼育が可能であることを確認した。ただし、この飼育方法ではミミズは徐々に痩せていくことが確認された。細目腐葉土といえど、ミミズが食べられる部分というのは限られることが明らかになった。(調査終了)

・ノラクラミミズっぽいミミズの子ミミズと思われるものを「NPS2.0-F(ミミズ箱1号αにて作り方を解説している)」で1か月飼育したところ、8割ほどのミミズが失われてしまった。体が透けているのでよく見たところ、NPS2.0-Fが体内に確認できなかった。この事から、子ミミズの飼育には大人のフトミミズとは異なるエサが必要になることが推測される。(調査終了)

ミミズ箱4号αから推測されること

・​真夏の暑さの中でも、ノラクラミミズっぽい超大型のミミズたちは過半数が1か月半を生き延びることが分かったミミズ箱4号αの蓋は密閉性が高かったため、箱の蓋に空気穴を設けるのが効果的であった。(調査終了)

 

ミミズ箱5号βから推測されること

NPS2.0-Fを床土として水循環式の容器であれば、より高密度の飼育に耐える事がわかった。なお、循環させる水はカルキ抜きを行った方が良いこともわかった。(調査終了)

 

ミミズ箱5.1号βから推測されること

春先に採集される亜成体のノラクラミミズっぽいミミズは、FK3.0を用いたβ型飼育によって大きく成長して冠帯を完成させ、成体まで成長することがわかった。

その他考察事項

過密飼育の対策

現在の所、「ミミズの過密飼育」というものは、「飼育箱内の水分の汚染」ではないかと考えている。

 

これは水槽で魚を飼うのと同じで、そこに多くの生きものが棲んでいるほど排泄物や分泌物などによって箱内の限られた水が汚れていく。

 

ニセペーパースラッジでは多量の水分を含みながらも「湿った状態」を維持できるために、ミミズたちは比較的過密飼育に耐えたのではないかと考えられる。

 

エサになっているであろうことが確認できた「ミミズちゃん床土」は「湿った状態」ではとても軽く、水分をたくさん保持することができない。

 

このために過密飼育状態が直ぐに発生する、という理屈である。

この水分の汚染を解決する方法はいくつか構想の中にある。

・植物を導入すれば、ミミズの排泄物を栄養として処理してくれる

・シマミミズとの共生が上記植物のような役割を担う可能性もある(なぜなら、シマミミズはフトミミズでは明らかに過密と思われるような環境でも力強く生きるからである)※これはミミズ箱2号αである程度実証された。

・箱を改造して排水穴を導入し、水を循環させればミミズが高密度でも汚染に耐えられるかもしれない。(このアイデアによってミミズ箱2号βは生まれた)

 

この過密飼育について、管理人ブロのnote記事にて考察の続きを書いている。参考にしてほしい。

note.com

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子ミミズ発見から養殖へ向けて

​ここまで「箱内の水分の汚染」に着目して考察を続けてきた。

 

それを防ぎ、ミミズを長生きさせられる策は現在の所「床土の頻繁な交換」だけだと言える。

 

しかし、ミミズがずっと元気でいられる頻度でそれを行ってしまうとミミズ箱1号αで発見できたようなミミズの子供には出会えなかったと考えられる。

 

卵胞が孵る前に床土を破棄してしまうことになるからだ。

過密飼育の考察で触れたように、今後考えなければならないのは、床土を交換せずして箱内の水分を清潔に保つ方法だ。

 

それが実現できなければ、子ミミズが生まれ、かつ、親ミミズが元気に生きていく環境が実現できない。

 

実際、子ミミズが見つかった時のミミズ捜索では、力尽きたミミズが多数発見された。

 

現実的には、ミミズ箱に排水穴を設けて定期的に水を流し、水分を循環させる方法しかないだろう。(これがミミズ箱β版である)

また、けっこうな速度でミミズは腐葉土を食べているようなので、腐葉土の継ぎ足しも必要だ。

 

さらに、ミミズ箱1号αで行った「ハーフ&ハーフ2」のような飼育環境では、ミミズの捜索のたびに床土を半々に分けることはできないし、繁殖の最適解ともいえない。

このような事情から、まだ閉鎖系で実験すべきことがたくさん残っている。

 

養殖というレベルは個人宅室内飼育施設のレベルで可能か

これはハッキリ言って難しいというのがここまでの実験での感想である。

 

フトミミズは、シマミミズのように年中繁殖をしていない。品種によって1年もしくは2年程度をかけて成熟し、いくつかの卵胞を残すという大イベントを経て力尽きる生き物であるようだ。保護した卵胞が孵化するところも今の所観察できていない。

 

であれば、釣りに使うのが目的ならば、小さなミミズを捕まえてきて大きく成長させて使う、くらいのスタンスで接するのが最も無難な線であろうと考えられる。もちろん、繁殖養殖の可能性を当サイトは捨てないが、「釣りに使い続けてもミミズが減らない魔法のミミズ箱」というのは幻想であることは、実験を経てきてわかってきた。

 

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