Thrilling Tsurilling

大きな魚を手軽に釣ろう

ミミズ箱4号α

スケールアップによって大型種の飼育実現を目指す

​2016年9月から2017年5月までのヒトツモンミミズっぽいミミズの飼育実験において、閉鎖系でも半年以上を生存する床土の開発に成功した。この実験では、過密飼育という課題は残っているものの、ミミズが卵胞を残すことも確認できている。

この成果に至るまでの種々の実験の果てに、私は密閉系飼育における最適化された床土を開発するに至った。「NPS2.0-F」である(作り方はミミズ箱1号αのページにて説明している)。

当サイトのミミズ飼育実験の元々の目的は、魚釣りの餌として長期保存、繁殖であった。初めのうちには数が最もよく取れるフトミミズであるヒトツモンミミズっぽいミミズを飼育してきた。このミミズについて、ミミズ箱1号αとミミズ箱2号βを用いて過密飼育問題の解決と繁殖に関する実験を継続中である。

一方で、大きな魚を手軽に釣るという当サイトのコンセプトから言って、私の住む地域で取れる身近なミミズの中ではもっとも大型化する、ノラクラミミズっぽいミミズの飼育は避けて通れないと思っている。2017年4月には、このノラクラミミズっぽいミミズの子ミミズとみられるミミズの育成飼育をミミズ箱3号αにて開始した。

こうなれば当然、環帯のある大人のノラクラミミズっぽいミミズの飼育実験は開始しなければならない。しかし、その巨体故にこれまでの5リットル容器ではとうてい飼育できるとは思えないミミズである。

​過密飼育問題の解決はミミズ箱2号βにてヒトツモンミミズっぽいミミズを用いての実験が進んでから行っていくのが筋であるから、やはりここは密閉容器でミミズ箱を大型化するしかない、ということで生まれたのがこのミミズ箱4号αだ。

 

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 目次

 

 

ミミズ箱4号αの紹介

ミミズ箱4号αは、10リットルの発泡ケースである。最初は特に加工は施すことなく、そのまま使用する。外観はこんな感じである。

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​今までのミミズ箱と色や取っ手の部分の形状が違っているが、これでなければならないというこだわりは一切持っていない。ホームセンターで買っても良いし、近くになければ通販でも手に入る。容量は自由に選べばよいが、ここで紹介する飼育方法だと大型のミミズなら最低でも1リットル/匹くらいの床土があったほうが良いと思われる。

 

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さて、容量がミミズ箱1~3号の倍ということでかなりボリュームがあるが、最初にここで飼おうとしているミミズのボリュームは、今まで飼ってきたそれの倍以上である。

 

やはり過密飼育問題の解決なくして、密閉系でのスケールアップは毎週末の釣り用途として養殖まで考えれば現実的でないこともわかってくる。この箱はフロースルー式の実験が進んでいない段階で先行実験として行うため、ミミズが「疎」な状態での飼育をあえて行っていく予定である。

​フロースルー容器での実験が上手くいき、必要に応じて床土を開発できれば、こちらの箱もミミズ箱2号βと同様に給水穴と排水穴を設けての飼育に移ることになる。

 

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2017/05/07 ノラクラミミズっぽいミミズ10匹を投入

ミミズ箱4号αに当サイトのオリジナルフトミミズ用床土「NPS2.0-F(作り方はミミズ箱1号αにて説明している)」を敷き詰め、ノラクラミミズっぽいミミズ10匹を投入した。

捜索はおよそ1か月ごとに行う予定で、適宜床土の交換を行っていく。取ってきたミミズが非常に大きいためこれでも過密となる可能性は捨てきれない。最初の内は毎日ふたを開けてニオイなどを確認しなければなるまい。

​ミミズを投入したときの様子はこんな感じである。ミミズ箱の横幅が約30cmであることを考慮してみていただければ、このミミズがいかに大きいかがわかるだろう。

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正直言って、この量のNPS2.0-Fを作製すること、そして大人のノラクラミミズっぽいミミズをこれだけ同時に入手することは困難を極めたわけだが、そこはゴールデンウィークを利用して上手くやることが出来た。連休に感謝である。

それにしてもどうだろう、このミミズの大きさは、ミミズ餌の釣りをする人にとってはまさに夢のようである。これが長期飼育、繁殖、養殖に至るとなればまさに天国だ。一筋縄にはいくまいが、年単位の時間をかけてもノウハウを習得する価値があるというものだ。

 

2017/06/06 ミミズ捜索、すべて生存を確認

飼育1か月というところで、ミミズ箱4号αのミミズ捜索を行った。結果、投入した10匹のミミズたちは痩せることなくすべて元気に生存していた。床土の底の方は泥状になっており、NPS2.0-Fを食べた跡なのだろうと推測される。このボリュームのミミズが1か月メンテフリーで保存できるのは釣り用途ではかなり強みになるだろう。

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箱は大型化したものの、このミミズのボリューム感なので正直言って過密飼育になることを危惧していたが、密度の問題はなさそうだ。ここからミミズを落とすとすると、おそらく夏の暑さや床土交換の頻度が問題になってくるだろう。ひとまずの大型フトミミズの保存方法としては1か月程度ならこの方法で問題なさそうだ。

この捜索後、底の泥状になっている部分を取り除き、床土を半分ほど交換した。次回からは卵胞の捜索も行っていかなければならないが、箱が大きいためにすべては見つけきれないだろうと思う。

 

2017/06/24 酸欠?出張前後で生存率に大きな差

当サイトでは勝手に生存率の指標としている1か月半のミミズ捜索での生存率を調査した。飼育1か月では全く問題なく生存していたミミズたちだったが、今回の捜索では7匹を落としてしまった。

ただ、気になることがひとつある。今回のミミズ捜索の直前に管理人は1泊2日の出張に出ていた。出張前日にミミズ箱4号αを開けて様子を見た時には、4匹以上のミミズが元気に表面に横たわっており、推測ではあるがすべてのミミズが元気だったと思う。それが出張後の捜索でこのような悲惨な結果になった。

温度に関しては出張の日以外にももっと高温になった日がいくらでもあった。気になるのは、私は毎日朝晩、蓋をあけてニオイがしないかなどを確認していたのだ。これができなかったことでミミズを落としたとなると、原因はこれであろう。

この「蓋をあけて様子を確認する」をしなかったことで起こりうることはまず第1に酸欠だろうと思う。そして、酸欠を起こして力尽きたミミズが嫌気性発酵し、ミミズにとって有害な環境がそこに生まれ、あっという間に他のミミズにも悪影響を与えてしまったのだろう。

悪いことに、ミミズ箱4号αに用いた発泡スチロール箱は蓋部分の密閉性がミミズ箱1~3号のものよりも高い形状である。

ひとまずこれは酸欠が原因と断定し、ミミズ箱4号αは水の循環はさせずとも、空気穴は蓋部分に設けることとした。残った3匹の大きなミミズはどうなるかはさておき、いったん空気穴を設けたミミズ箱4号α(名前は変更しない)で1か月半飼育をやり直す必要がある。

 

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2017/06/26 空気穴を設置

2日間蓋を開けなかったことが原因とみられる惨事が発生した。出張は月に1度くらいは出るので、このままではノラクラミミズっぽいミミズの飼育は困難になってしまう。そこで、水分の循環を目的とせず、排水穴も設けず、ミミズ箱4号αには「空気穴」を設置することにした。

 

やり方はミミズ箱2号αをミミズ箱2号βに改造したときと同じである。カッターを入れて穴をあけ、洗濯ネットをかぶせてバスコークだ。

​空気穴を設けたミミズ箱4号αの外観は以下のようになった。

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ここに、前回と同じ密度(すなわち10匹)のノラクラミミズっぽいミミズを投入して、実験をやり直すことにした。なお、週に1回程度軽く霧吹きをする予定である。

 

2017/06/29 ノラクラミミズっぽいミミズ7匹投入

空気穴を設置してのノラクラミミズっぽいミミズ飼育をこの日から再開した。生き残った3匹は特に入れ替えることはせず、7匹を追加する形での10匹の飼育である。

​このミミズの長期飼育に成功していれば、釣り用途でのミミズの保存という課題は大きなヤマを越えることになる。ミミズ箱1号αでの「1年間飼育」、ミミズ箱2号βでの「高密度飼育」、ミミズ箱3号αでの「子ミミズ育成」とともに成功を願いたいところである。

​これらすべてに成功すれば、後は残された卵胞が孵化する条件などを調べていくことになる。

一筋縄ではいかないであろうことは想像がつくが、これまでも着実に進歩をしてきた。じっくりとやっていきたいと思う。

 

2017/07/29 空気穴設置・再実験1か月経過

改めてミミズ10匹体制での飼育スタートから1か月が経過したので、ミミズの捜索を行った。結果、2匹落として8匹のミミズ生存を確認した。1か月時点での生存率は、前回より低い結果となった。これはハッキリ言って猛暑のせいであろう。夏にミミズを完璧に保存するというのは至難である。地下室でも作らなければ難しいかもしれない。

この実験は酸欠と推測される形で失敗した前回からの再実験であるので、ひとまず生存率の基準としている1か月半飼育まではこのまま継続する。

 

2017/09/18 他ミミズ箱全損により本年の実験をすべて断念

このミミズ箱4号α自体は、台風により破損しなかったのであるが、他の箱が偶然外に置いておいたことで全損してしまった。この箱にはミミズが残されていたが、すべて家の庭に帰ってもらい、今年のミミズ実験はすべて中止することとなった。来年以降は毛色を変えた実験を、2箱程度の体勢で行って行こうと思っている。

 

2018/05/10ノラクラミミズっぽいミミズ(環帯なし・中型)を5匹導入

これまで、春ごろにつかまえてきたノラクラミミズっぽいミミズは卵胞を残して力尽きる直前のご老体(2歳)だった可能性があることに最近気が付いた。というのも、ノラクラミミズっぽいミミズは、同じ場所で三段階の大きさで見つかるからだ。小型の棒みたいに固まった超ちっこいヤツ、中型でデカいけども環帯のない物、環帯のある下品なくらい大きい物だ。これを0歳、1歳、2歳、と仮定するとどうも合点がいくところが多いのである。

 

そこで今回は環帯のない大きい物を選んで5匹導入して、あの下品な大きさのものに育つかどうかを実験してみようという試みを行うことにした。同時に、フトミミズ園芸に協力できるよう、床土はどんどんいれかえていく予定である。

 

2018/05/26 ミミズ捜索・無事すべて生存

今回は慎重に、という事で2週間で床土入れ替えを行っていく態勢をとっていくことにする。それに伴って中のミミズが無事であるかどうかも同時に確認でき、減っていれば(大参事でなければ)フトミミズ園芸のために廃土を供給し続けられるだろう。今回は全てのミミズが無事であった(写真を撮るのを忘れていたが)。といっても、今年の廃土は貯めておいて来年使う予定なのであるが。

 

※2018年09月追記※

この箱での実験は、園芸実験のひと段落と諸事情でいったん終了した。今後α型飼育を行う場合にはこの箱が使用されるが、床土を変更する場合はバージョンをかえて新たにページを設けることにする。

 

2019年09月追記

ミミズ箱4号はβ型に改造され、ミミズ箱4号βとして運用することになった。

 

 

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