2016年5月28日、池の鯉が産卵
なんだか池の鯉が暴れている…ただそんな風に思っていたら、池の壁面や水草に何やら鼈甲色の粒々があるではないか。
これは鯉の卵だ!と思った私は、鯉を卵から育てていくことにチャレンジしようと決めた。卵全てを回収するのは不可能だし、全部孵っても飼いきれないので、卵が付いた水草を20リットルほどのバケツに移した。
これらを慎重に小分けして複数の飼育ケース(30×15×20くらい)にいれ、エアレーションし、孵化を待つことにした。卵を吸い込んでしまうほどのろ過装置は取り付けず、最低限酸欠にならない程度のエアレーションだ。
使ったのは家に眠っていた古いエアポンプとこれ、言わずと知れたロングセラー、水作エイトである。
バケツに保護した、鯉の卵とみられるものが付着した水草は、こんな感じである。
粒々が水草にまとわりついている。池の壁面にもたくさんあったくらいだから、おそらく鯉は吹き付けるように卵を産み、そこにオスが登場、という感じなのだろう。
なにしろ初めての経験なので、何が生まれてくるかも定かではない。
しかし何かの卵であることは確かである。生まれた物を育てようと思った。
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2016年5月31日、卵の中に目玉があるのを発見
ルーペでじっと卵を観察していたところ、多くの卵は腐って白く濁っていたが、いくつかの卵の中に目玉があるのを発見した!殻に閉じ込められてはいるが、もうそこには命がある。なんとも神秘的ではないか。
よくよく見ると、右上、右下、左下に映っている卵に目玉ができている。真ん中の白い物は、腐ってしまってカビが生えた卵だ。卵の中で身をよじるものもいて、いよいよ孵化が近づいてきたと感じさせる。
ここで、卵が孵った時に腐った卵と一緒に入れていると孵化した鯉の子(「毛仔」というらしい)が死んでしまうと思ったので、急遽、メダカを飼っていた60㎝規格水槽のメダカを別の(これまたメダカの)水槽に退場してもらい、孵化に備えることにした。
孵化した毛仔は、すべての容器からこの水槽に移し、きれいな水で飼おうという計画である。
2016年6月1日未明、孵化が始まる
夜中まで延々と卵を見ていたわけであるが、ついに卵のひとつから、毛仔の尻尾が出て毛仔がそれを振り回しているのが見えた。孵化が始まったのである!
中央の卵から右下に向かって白いひものようなものが伸びているのがわかる。この紐のようなものは活発に動き、毛仔が殻から出ようとしていた。他の卵の中も、殻の中で身をよじる姿がいくつも確認された。
さあ、いよいよ誕生である。この日はこのまま様子を見て、翌日以降に生まれた毛仔を水槽に移していくことにした。このほかにも、生まれてすぐの毛仔が捕まる場所を求めて活発に動き回る場面も見られた。
生きものが生まれる瞬間は、どんな生きものでもとても感動的である。ここから、他の卵の孵化を待って全てきれいな水の水槽に移していったのが次ページ「鯉を育てる(毛仔編)」からである。