釣った魚の観察をする
私は魚を眺めるのが好きである。好きなのであって、常にそれを見て釣りの勉強をしようなどと思っているわけではない(結果的に勉強になることはあるのだが)。
家には60水槽と90水槽とがそれぞれ複数ある。庭には小さいが池があり、水路もある。水路にはどこからともなくやってきた生物たちもいる。
池では錦鯉を飼っており、当サイトの「鯉を育てる」のコーナーは、この池にいる錦鯉が生んだ卵から始まったものである。
前置きはこんなところにして、2018年初頭ごろ、私は事情があって友人から受注生産品の、傷のほとんどない美しい90㎝アクリル水槽を譲り受けた。私はこの水槽を、釣ったりつかまえたりした魚を観察するための臨時且つ撮影用の水槽にし、魚を入れ替えたりして動画にして残すことにした。
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目次
水槽の立ち上げ
魚を頻繁に入れ替えるつもりでいるのだから、当然水をすべて入れ替える「リセット」を何度もすることになる。それならば、掃除がリセット級に大変でもいいから、底面濾過を試してみたくなった。
最初に立ち上げたのは、ヒロセペットの「ブルカミアD」という水草用ではない吸着系の高級ソイルを用い、これまたヒロセペットのバクテリア剤「バクターDD」を投入して立ち上げる、底面フィルター水槽だ。「ブルカシステム」と名付けられた底面フィルター方式である(記事冒頭の画像がそれである)。
なぜこのシステムなのか?と聞かれると「良いらしいからやってみたかった」としか説明できない。「水替えが要らない」とまで言われるこのシステムの威力が見たかったのだ。やってみたのが下の動画だ。
ソイルを入れた水が、こんな短時間でピカピカになるのにはたまげた物である。
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この水槽を作るのに必要なモノ
動画で説明されているが、必要なのはまずベースフィルターだ。GEXの「マルチベースフィルターL(60㎝)」を二つ用意した。
調べてみると特に水槽の底全体にベースが広がっていなくてもいいという事らしいが、私はそれを後から知ったので、このベースだけのものを買い足しまくって底のほぼ全面をカバーした。
さて、上に挙げたベースフィルターは吸い上げがデフォルトではエアポンプを使ったエアリフト方式である。これで90㎝水槽の底から水を吸うというのは無理がある。GEXは親切なことに、ポンプ付きのコーナーフィルターをつなぐことができるようにしてくれている。以下の製品が適合する。これを二つ用意した。
これらの道具を使ったシステムでは、コーナーフィルタ全体をベースのパイプに直結する方法と、コーナーフィルタのポンプのみをベースのパイプに直結する方法がある。大きな理由は無いのだが、私はポンプのみを直結した。大きな理由ではない小さな理由というのは、ベースフィルタからの吸い上げ量がコーナーフィルタに分散されるのが何となく嫌だったからだ。すべてソイルの下から吸い上げてほしかったのである。
ここに、上で述べた高性能吸着系ソイル「ブルカミアD」を20kgほど敷いた。90㎝水槽となるとかなりの量である。フィルターまでは安く済んでいたがソイルは高級品だ。財布には優しくない。生きものの命を預かるのだから、何もかもケチって進めていくというのもちょっと違う気がする。最低限、財布の痛みくらいは味わっておいた方が良いのかもしれない。
あとは好きにレイアウトすればよいが、ブルカミアの厚さは傾斜をつけたりしないのが最もろ過の効率が良いようだ。ちなみに、ここに投入するバクテリア剤、ヒロセの「バクターDD」は大手通販サイトでは見つからないので、ヒロセペットの店舗またはヒロセペットの独自通販サイトから手に入れよう。
バクテリアについて
ここでいう、つまりアクア界隈における「バクテリア」とは何なのかというと、「飼い主が水槽で生きもの飼うときに欲している機能を持っており、望ましい化学反応を引き起こす微生物群」のことだと言えるだろう。
水槽に水を入れてエアやポンプ類を稼動させ、水が回り始めて数週間すると、ろ過バクテリアといわれる微生物群が、水槽内やろ材に定着する。何も入れなくても、空気から侵入して、数週間すれば適度に増えるのだ。ただし、この水槽はヒロセペットのバクテリア剤「バクターDD」を入れてあるので、ショップ公称ではもっと早くからこれらの微生物が定着するようになるとされている。
この微生物は、水槽中のアンモニア、亜硝酸塩などの有害な窒素化合物を比較的無害な硝酸塩に分解(この場合、バクテリアが起こす反応は「酸化還元反応」であり、窒素は酸化される)する、とされている。
ブルカシステムは微生物の力で「脱窒までできるようになる」と謳われているが、窒素の酸化数に着目すると、アンモニアなどの窒素化合物を(アクア界では、「少しなら」無害とされる)硝酸塩(硝酸イオン)まで酸化してしまった後に無害な窒素N2として水槽外へ放出するのはかえって難しい気がする(なぜなら、反応性の低い硝酸塩の窒素を酸化還元反応によってわざわざ酸化数0まで還元しなければならないからである)。
窒素ではない「水溶性の低い窒素酸化物、窒素化合物」の状態で空気中に放出するならばこれが最も現実的な方法だろうと思うが、そういう事を指して「脱窒作用」と言っているのだろうか。
それだとしてもそんなことが可能なのか不可能なのか、そんなことは、調べる方法を持たぬ我々には知る由もない(ラボを与えてくれたら私程度でも調べられるだろう。検証はできるが、解決までできるかどうかはこれまた保証できない)。
窒素化合物のそれぞれの酸化数(ドラゴンボールのフリーザが変身するステージの様なものだと考えてくれたらいい)は以下のようになる。家庭の水槽レベルで硝酸塩を窒素まで還元することに挑戦するよりは、硝酸イオンとして水槽にたまってくれる程度が一番安全そうに感じる(当然、この場合水替えで除去するという事になる)。
ここに登場する物質のうち、アンモニア、次亜硝酸イオン、 亜硝酸イオンは明らかに生命に危険を及ぼす有害物質である。理由は反応性が大きいからだ。反応性が大きいという事は当然、生物そのもの、特に粘膜を構成する分子と反応しやすい。他の分子と反応して何か別のものに変わりやすい性質のことを化学の言葉では「不安定である」と言ったり、物理の言葉では「高エネルギーである」「ポテンシャルが高い」などと表現することもある(これらは厳密にイコールではないがこのように表現でき得るということだ)。
まあ、私は物質についてはあーだこーだ少しは言えるが微生物については特段知識を持っているわけではない。この各ステージの窒素酸化物イオンから窒素を含有する有機窒素ガス等を合成して水槽外に放出し、水槽内の窒素を無害に、かつ量的にも安定化させ得る微生物が存在するのかどうかはぜひガチの人がいたら聞いてみたいものである。窒素まで還元せずに有機化するにしても、それは硝酸塩が検出されなくなっただけで、キットで検出されない有機窒素が水槽内に蓄積されていてそれが生体に毒である可能性だって十分にある。
ソイルのメーカーが何をうたっていようが、水替えに勝る硝酸塩除去は無いと思っているので、頻繁に水替えは行う。
パイロットフィッシュの導入
硝酸塩に関するあれこれはここではとりあえず置いておくとして、とりあえず我が家の水路で発生している大きなアメリカザリガニを投入し、パイロットフィッシュとした。
こいつらが思いのほか可愛くて長期にわたって飼育してしまった経緯があるのだが、それが誰にとっても可愛いかはわからない。今後アップされる動画で判断いただければと思う。
アメリカザリガニの後に水槽に入ったのは、タナゴたちだった。こちらも是非ご覧いただきたい。
タナゴたちは60cm水槽二つに分けて退場してもらい、次はナマズの観察・撮影を行った。
ナマズは池に移動し、日本淡水魚の雑魚水槽を作った。
水槽に改造を施した方法について解説する動画を上げたので、そちらも新たにページを設けた。
空いていた60cm水槽にてライギョの稚魚の飼育を開始した。