2016年6月2日、生きている卵が全て?孵化
孵化が始まった翌日には、孵化した毛仔たちが飼育ケースの壁に所狭しとくっついていた。すでに活発に泳いでいるものもいる。
残った卵は腐っていたので、水草ごと取り除き、毛仔たちを掬って元メダカ水槽に移した。
元メダカ水槽の上部濾過フィルタはオフにし、代わりにやはり水作エイトを入れ、エアレーションすることにした。
かなり細かい作業で、優しく扱わなければならないので長時間の作業を要し大変だったが、元メダカ水槽に移した毛仔たちは、頑張って水草や壁にくっついていた。こんなのがあの巨大な鯉になるのかと考えると、ちょっと恐ろしくなった。
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元メダカ水槽に移した毛仔たちは、水草にはりつき、下の写真のようになった。
見えるだろうか?この写真の中に3匹ほど写っているのだが、大きさは4㎜くらいだろうか。お腹がぷっくりしているが、これは「卵黄のう」といって、生まれた毛仔が勝手に育つための栄養がここに入っている。
これのおかげで、毛仔は1週間ちょっとほどは何も食べずに勝手に大きくなる。軽く200匹の毛仔を元メダカ水槽に移したが、水草にくっついて姿はあまり見えなかった。
この写真ならはっきりわかるだろう。この毛仔は、卵黄のうが小さいように見える。孵化開始初期に生まれた物なのだろうか。
これは後にわかってくることなのだが、同じ日に生まれた鯉でもその成長速度は著しく異なり、数倍以上の大きさの違いとなって現れる。
生まれた瞬間に抱えていた卵黄のうの大きさも、この差に一役買っていそうだ。
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2016年6月6日、毛仔が泳ぎ回るようになる
毛仔はしばらくは水草や壁、砂利に身を寄せてじっとしている状態だったが、3日ほどたつと活発に泳ぎ始めた。
これはほんの一部分だが、このようにして見るととんでもない数である。全ての卵のうち1/10も保護しなかったが、これでも大きくなったら飼いきれる数ではない。稚魚まで大きくなったら引き取ってくれる業者を探さなければと考え始めたのがこの時期である。
この段階では必要ないが、初めての育成なので、とにかく一匹でも大きくなってもらいたいと考え、錦鯉では常識的に行われる今後の「選別」は、数を見て判断しようと思った。
その時にも、ただ美しい個体を選ぶのではなく、大きく強い物を残し、とにかく無事に育ってもらいたいと考えた。
動画ではこんな感じである。もうすっかり魚らしく泳いでいるのがわかる。そろそろエサが必要な時期が来たのかもしれない。
2016年6月10日、初めてのエサやり
調べてみると、鯉の毛仔はミジンコを食べて育つらしい。そのミジンコというのがなかなかやっかいで、とってきて増やそうと思ったら「鶏糞堆肥の水溶き」が良いというのである。
梅雨時にそんなものを水に溶いたらどうなるかは容易に想像がつく。このため、我が家の毛仔にはかわいそうだが生きエサではなく市販の乾燥ミジンコを乳鉢で粉砕して与えることにした。
この商品を乳鉢で粉砕し、つまんで水面で揉むようにして沈めて与えた。そうすると、毛仔たちはニオイを察知したのか活発に動き始め、パクっと食べたのである!
これもまた感動的な瞬間であった。食べた瞬間を写真におさめたが、何が何だかわからなかった。しかしそれでも載せておこう。生まれた鯉が、始めてエサを食べた瞬間である。
毛仔の周りの水草に乗っている白い粒々が粉砕した乾燥ミジンコである。エサを食べるようになって、いよいよ育成という感じが出てきた。
これからどんな模様が出るのか、どんなに大きくなるのかと楽しみになった瞬間だ。動画にすれば少しは食べているのがわかるだろうか。
これ2016年6月16日、毛仔たちに色の個性?
エサをやり始めて6日、毎日欠かさずエサをやっていたが、少し数が減っているようにも見える毛仔。
すべては追えないのである程度あきらめていたのだが、よく見ると毛仔の色に個性が出てきた。
黄色い個体と、白い個体である。長さはだいぶ成長したように見えるが、まだまだ「毛仔」の形状である。
この頃は、黄色い個体はいわゆる「黒子」になって、白い個体は「錦鯉」の姿になるのかなぁ、などと考えていた。
結果的に結局どちらも錦鯉の姿になるのだが、どれがそうだったのか見分けがつかないまま終わってしまった。
一日中張り付いていれば見られたのかもしれないと思うと少し残念だが、そういうわけにもいくまい。
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2016年6月27日、「トビ」登場
毛仔を放っておくと共食いを始めると、とある本には書いてあった。その本にはこういう共食いする「トビ」と呼ばれる鯉は著しく大きくなり、「美しくない」だの「カス鯉」だの書いてあったので価値観が合わないので紹介しないが、我が家の水槽を数時間眺めている分には共食いしている様子は見られなかった。
しかし、「トビ」は現れた。少し鯉っぽくなったフォルム、スピード感がほかの毛仔とは段違いだ。
2匹写っているが、下の黄色いのが「トビ」、上が普通の毛仔である。この時点で倍くらいの大きさの開きがある。
実はこの後、この差はどんどん拡大していくことになる。私が思うに、毛仔たちは個性として、十分な餌を与えていても、消化吸収能力、容量がそもそも違うのだ。
だから共食いをしなくてもトビは登場する。それを取り除くか、残すかは価値観で決めればよい。
※2019/05追記
鯉を育てるコーナー設置以来、これまでこの大きな鯉を私は「ハネ」と呼んでいたが、「ハネ」は美しい錦鯉を選別するときに要らないから撥ねるものの事を指すようだ。なので本来業界などで使われているであろう用語「トビ」に書き換えた。間違った情報を流したことを誠に申し訳なく思い、反省している。表記が変わっていることにご了承願いたい。
2016年6月30日、「毛仔」と「稚魚」の混泳状態に
「トビ」が現れて以来、3日ほどで「毛仔」の形から「稚魚」と言えるくらいの変身を遂げた個体が4匹ほどいた。ほかの毛仔たちの泳ぐ能力も上がってきたので、この辺で上部濾過フィルタを運転させた。
それにしても不思議なもので、仕事に行っている10時間ほどで突然毛仔が鯉の形になる。一瞬にして変身しているのではないかと思ってしまうくらい突然、だ。稚魚の姿になった個体と、毛仔のままの個体の同じ日の写真を比べてみよう。
上の写真が、変身後、つまり「稚魚」の姿になった鯉。下の写真が変身前、「毛仔」のままの鯉である。
これが同じ親が一度に産卵し同じ日に同じ容器で卵から生まれ、同じ環境で育った鯉に見えるだろうか?
はじめ私には理解不能だったが、野生の鯉ならばもう大きい個体しか生き残っていないのだろうなと感じた。そうしてサイズが整っていくのだと。
何度も言うが、この大きさの差はしばらく拡大を続ける。この日あたりから、稚魚と毛仔の混泳状態、まるで別の魚種を飼っているような感覚だった。
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2016年7月06日、2度目の変身?
未だ全ての毛仔が変身を遂げていないなか、2度目の変身を遂げた個体が現れた。おそらく、最初に「トビ」だと私が認識した奴である。
その変身はすさまじい物で、帰ってきて水槽を覗いたら「うわ」と声が出るほどであった。2度目の変身を遂げた個体はこれである。
完全に錦鯉の姿である。毛仔と、ちょっと変身した鯉の形になった稚魚の中に、一匹だけこんな鯉がいるのである。
私は彼を別容器に移すか悩んだ末、水質の変化にやられてしまうリスクを恐れて、このまま混泳させることを決断した。
この鯉が確認されて以降、毛仔のままだった鯉が食べられてしまうことは特になく、無事にみな第1の変身を遂げた。ここから先は、「稚魚編」として別ページで語っていこう。