Thrilling Tsurilling

大きな魚を手軽に釣ろう

ミミズ箱2号β

過密飼育問題解決のカギ、水分の循環を実現する

​2017年4月までのフトミミズ飼育実験において、閉鎖系でも半年間ミミズが生存する床土の開発に成功した。しかし、約5リットルの床土においてヒトツモンミミズっぽいミミズは8匹程度しか生き延びることができず、半分近くのミミズは初期の内に力尽きてしまった。

そこを生き抜いたミミズが半年以上生きたということは、理由は単純、初期はミミズが過密だったのだと考えるのが自然である。系を大きくすればたくさんのミミズを飼うことはできるだろう。しかし、別のアプローチも考えなければ効率が良くない。

そこで考えたのが、水分を循環させるフロースルー式の飼育箱だ。箱の作り方を紹介した後、実際のミミズ飼育に移っていく。

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目次

 

 

ミミズ箱を改造

水分を循環させるためには、どのようなミミズ箱が良いだろうか。物事は単純なものから勧めていくほうがよかろう。ミミズ箱2号αにくわえる改造は以下の3点だ。

①箱の底に排水穴をあける

②箱の蓋に給水穴をあける

③穴にネットをかぶせる

これだけである。順を追って説明していこう。まずは①の排水穴だが、カッターナイフでミミズ箱の底の1辺に穴を設けた。以下の写真のような穴である。

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​箱の側面にも切り込んでいるのは、受け皿にスムーズに水を輩出できるようにと考えてのことである。

​次は②の給水穴であるが、これは側面に切り込む必要はないので四角い穴をあけた。以下の写真のような穴である。

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​始めのうちは、底の穴と蓋の穴が同じ側に配置されるように蓋を閉じる。これをするのは、給水直後の水浸しにミミズが耐えられない可能性があるからで、いわば箱全体が「ずぶ濡れ」になってしまわないために待避所を設けるようなイメージである。

 

​このネットを穴より少し大きく切って固定すればよいのだが、どんな接着方法が良いだろうか。当然、水に強くてミミズに害を及ぼさないことが要求される。これはアクアリウム水槽にも使える以下の接着剤が良いだろう。

 


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​これでネットを給水穴と排水穴に内側から接着する。あらかじめ接着剤を穴の淵に塗っておいて、ネットを乗せて淵をなぞるようにすると上手く接着できた。​

 

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給水穴はこんな感じである。​

​一方の排水穴は以下の写真のようになった。

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これで接着剤が乾いたらミミズ箱2号βの完成である。今後、ここに床土を入れてフトミミズを投入し、定期的に水を流してやるという方法でミミズを飼育していくことになる。なお、室内飼育のため受け皿は必須である。​

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これがミミズ箱2号βで飼育に挑む形である。目標は、この約5リットルの容器での15匹同時飼育である。経験上、簡単に事が進むとは思っていないが、フロースルー式飼育箱は前年からの虎の子のアイデアである。使用する床土については考案中である。

 

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2017/04/24 テスト用の床土NPS2.0-Fとミミズ4匹投入

​ミミズ箱2号βの動作確認と、飼育テストとして閉鎖系で半年以上の健全な飼育に成功したオリジナル床土「NPS2.0-F(作り方はミミズ箱1号α参照)」と、ヒトツモンミミズっぽいミミズ4匹をミミズ箱2号βの投入した。ひとまずは7日ほどここで馴染んでもらって、給水と排水のテストを行う予定である。

なにせ床土の原料が紙であるから、目詰まりを起こして排水されないという事態も考えられ、これまでのテストのようにいきなり15匹のミミズ投入は危険であるという判断である。NPS2.0-Fを入れたミミズ箱2号βの外観はこんな感じである。

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床土が少なめなのは入れるミミズが少ないからである。このシステムでヒトツモンミミズっぽいミミズが飼育できると判断したら、床土をさらに追加してミミズを15匹まで増やし、本格的な飼育実験に入る。

穴が開いている分、給水が可能なのと同時に床土の湿り具合は頻繁に確かめて給水タイミングを計ることが必要になるだろう。最終的に目指すのは「床土交換フリー」であるから、エサとなる腐葉土がなくなってしまうことも考慮しなければならない。

 

現段階で考えているのは、給水時に何度かに一回は「ミキサーにかけた腐葉土+水」を給水してやろうということであるが、なにせまずこの箱でミミズが飼えることを確認しなければ話にならないだろう。

 

2017/05/04 1週間飼育と水循環後1週間経過

​ミミズ箱2号βに4匹のテスト用ヒトツモンミミズっぽいミミズを投入してから1週間が経過し、その際に500mlの水を給水穴から流した。思っていたほど水は床土に染み込まず「NPS2.0-F(ミミズ箱1号αにて作り方を解説している)」をするりと通り抜け、あっという間に排水された。

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排水された水が床土中の腐葉土の成分を洗い流してしまわないかと心配していたが、これもかすかに濁っているの水が排出された程度であったため、毎回腐葉土をミキサーにかけて継ぎ足すほどエサ成分は必要なさそうである。

また、今回の給・排水実験は写真の通り、給水穴と排水穴が同じ向きにある状態で行った。この事により、ずぶ濡れになったのは床土の半分だけであったことも狙い通りである。

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写真の下半分が給水時に水が通った場所である。思ったほどトイレットペーパーを原料に持つ「NPS2.0-F」は崩れたりしていないようである。上半分は影響を受けなかった。これにより、水分過多等でミミズが窒息したりすることは防げそうである。

さて、この給・排水実験から1週間経過し、ミミズを割り箸で捜索した結果、無事4匹とも元気であることが確認できた。フロースルータイプの実験はひとまず成功である。これからヒトツモンミミズっぽいミミズがとれ次第ミミズ箱2号βに投入し、15匹での飼育を目指す。

 

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2017/05/14 テスト終了、本格飼育に着手

​フロースルー型に改造したミミズ箱2号βで、週に1度程度500mlの水を給排水して、3週間ほど4匹のヒトツモンミミズっぽいミミズが飼育できることを確認した。

この結果を受け、飼育床土に水を加えて循環させること自体でミミズは失われないとものと考え、本格的に過密飼育問題を解決するための実験を行うこととした。

まずは少量だった床土の「NPS2.0-F」を箱いっぱいになるまで増量した。

このところ実験用のヒトツモンミミズっぽいミミズはあまり捕獲できていなかったのだが、複数のミミズポイントを探し回ってなんとか11匹のヒトツモンミミズっぽいミミズを捕まえることができた。これらをすべてミミズ箱2号βに投入して、合計15匹体制でのミミズ飼育実験を開始した。

これまでの閉鎖系容器での実験では、過密飼育によって6週間以内にミミズが4割以上失われていた密度である。生存率が上がれば実験は成功である。

これから6週間は、1週間ごとに500mlの水を循環させることにする。また、水循環の4回のうち1回は、腐葉土を水に入れてミキサーにかけたものをエサとして投入する。この時は給水穴からではなく、ミミズ箱2号βの蓋をあけて投入することにする。

飼育床土のNPS2.0-Fが水で溶けてしまったり、ミミズが全滅したりしなければ、極力床土交換は行わない方針である。ただし、生存確認のためのミミズ捜索で床土が濡れすぎて戻せない可能性があるため、そのような事態が起きた時には床土を新しくする方針だ。

 

2017/05/26 ミミズ脱走、2匹失う

​ミミズ箱2号βがミミズ15匹体制になってからおよそ2週間になるが、この朝ヒトツモンミミズっぽいミミズ2匹が排水受け皿の中で力尽きているのが見つかった。どこから這い出たのかは不明であるが、排水穴だとしたらこれから脱走が止まないと思われる。蓋や給水穴からであれば対策が簡単であるが、その場合はミミズたちがこの飼育環境を嫌って抜け出している可能性がある。

 

いずれにしても課題が残る問題なのだが、ひとまず蓋の隙間からの脱走を疑って、上に重石を乗せる形となった。これでも脱走が続くようであれば脱走ルートは排水穴が濃厚である。

とりあえず4週間と、生存率の指標としている6週間までは何もいじらない方針であったが、脱走が続いた場合はミミズ箱の再改造など必要になってくる。

​これからの展開によってはミミズ箱大改装となる。

 

2017/06/14 飼育1か月、脱走以外すべて生存を確認

​ミミズ箱2号βでの5Lフロースルー式容器、ヒトツモンミミズっぽいミミズ15匹飼育を開始して1か月が経過したので、ミミズ捜索を行った。

ミミズ箱はNPS2.0-Fが水を吸ってずいぶん重たく、新聞紙の上で箱を逆さにしても床土がごそっと落ちないほど粘土状(?)になっていた。

箱を振って新聞紙に中身をぶちまけた後、ミミズを探していくと非常に元気なヒトツモンミミズっぽいミミズが13匹見つかった。2匹落としているのは脱走を許しているので仕方ないが、床土が問題で力尽きたミミズはいなかったということになる。

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​これで生存率の指標としている1か月半を乗り越えれば、この方法は過密飼育対策として非常に有効であることが証明できる。

 

また、そもそもの「5L容器に15匹入れたら半分近くはすぐ力尽きる」事の原因が過密飼育だったことがやっとハッキリするといえる。

この容器の床土は大変多くの水を含んでおり、バラバラにして卵胞を探すのは困難を極める。そこが難点であるが、子ミミズが見つかったりすればそれで繁殖の可否は判断できるだろう。

 

2017/06/28 飼育1か月半も(脱走以外)全て生存を確認

​ミミズ箱2号βでの飼育が1か月半になったのでミミズ捜索を行った。根拠は何もないが、当サイトではミミズ飼育法の評価基準として1か月半後の生存率を採用している。

今回の捜索で、飼育1か月の時に生存を確認した13匹すべての生存が確認できた。この数字は、今までの密閉系飼育容器ではどの床土を用いても実現できていなかった生存率である。ミミズ箱2号α→ミミズ箱2号βの改造は成功だったといえるだろう。

 

2017/07/14 飼育2か月、2匹のミミズを失う

​ミミズ箱2号βでヒトツモンミミズっぽいミミズを飼育しはじめて2か月が経過したので、定期ミミズ捜索を行った。

結果、11匹のミミズが見つかり、2匹が行方不明となってしまった。箱からニオイなどは特にしていなかったが、力尽きてしまったものと予想される。この箱の中でミミズを落としてしまったのは初めてだが、これは原因が過密飼育だったのかというとはっきりそうは言えないところがある。

やはり、夏の暑い時期はどのミミズ箱でもミミズ生存率が落ちる。ミミズ箱2号βはフロースルー式にしている分、ずっと外気にさらされているといっても過言ではない。また、気温によってミミズ密度の許容範囲が変動することはじゅうぶんあり得ることであり、暑さによってその限界密度を超えてしまった可能性もある。

 

2017/08/18 飼育3か月、半分のミミズを失う

​真夏の暑さのせいで飼育密度の許容量が小さくなったのだろうか。それとも暑さで弱ってしまったのであろうか。1か月半時点では画期的な生存率だったフロースルー式容器でも結局、ミミズたちは3か月で半減の7匹となってしまった。

真夏は実験にならないと言ってしまったら終わりであるが、9月から飼いはじめたミミズがフロースルー式で1年後どのくらい生き残るか、というのは改めて確かめ直す必要があるのかもしれない。その実験でも8月にミミズを失うようであれば、もはやミミズ用冷房装置の開発に着手しなければならないだろう。

 

 

2017/09/17 台風によりミミズ箱大量破損

上陸した台風18号によって、偶然外に保管していたミミズ2号β、3号αは致命的な損傷を負い、ミミズとともにその原型を留めることなく風の藻屑となってしまった。今後のミミズ箱は世代交代し、4号以降の次世代ミミズ箱が担っていくこととなった。

 

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