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フトミミズ園芸実験2019

あたらしい床土のテスト

 

紙を基材にしたフトミミズ飼育床土の実験がひと段落した。これに伴って、ミミズ飼育床土の開発も新たな段階に入った。2019年から、フトミミズ飼育実験でもケト土と腐葉土をベースにした土を新たに開発したので、この土で植物がどのように育つのかというのは当然調べておかなければならない。

 

今年使う土は「FK3.0」と名付けた。作製法はミミズ箱5.1号βのページで紹介しているので参照いただきたい。

 

ミミズ箱5.1号βへ

 

2019年は、3つの鉢を用意した。命名方法は2018年と同じである。左から、リファレンスとして市販の培養土を使う「R」、ミミズ飼育用に作製した床土KF3.0を使って水だけを与えるニュートラル「N」、「N」と同じ土を使用して週に1度、ミミズ箱に注水した廃液を与える「β」である。

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なお、去年と異なり「α」が存在しないのは、新しい土でのα型飼育を行っていないからである。必要があれば今後行う可能性はあるが、今のところ予定していない。

 

 

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目次

 

 

「R」で使用する市販の培養土

「R」では市販の培養土を使用する。特に選定基準は無いが、2018年の実験と同じものである。2018年では問題なくヒマワリが育ったので変更はしなかった。

 

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育てる植物の品種

実験では、背丈が1mくらいになるヒマワリを育てる。これも2018年と同じものである。前ページの「フトミミズ園芸」を参照されたい。このヒマワリは、2018年実験時に床土の状態によって著しく成長速度が違ったので、園芸実験用としては優れたヒマワリだと思う。

 

2019/05/04 ヒマワリの種を蒔く

今年も2018年の実験と同様に、各鉢に3つの種を蒔いた。発芽したもののうち、生育のよさそうなものを一つ残す予定である。経験上、発芽には土の良さは関係なさそうだ。

 

2019/05/12 ヒマワリの種9個が無事全て発芽

各鉢に3つずつ蒔いた種は全て発芽した。

R

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β

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N

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Rの鉢だけ見づらいが、ひとつが殻をかぶっているためである。もう少し様子を見た後、一番生育の良いモノを残して残りは抜き、比較実験に移る。

 

2019/05/18 発芽したもののうち育てるものを決定

それぞれの鉢について発育の良い1本を残し、他の芽を摘み取った。

 

R

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β

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N

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これから、ミミズ飼育実験と並行してこれらのヒマワリの成長具合を考察しながら楽しんでいくことになる。今年は枯らさずに花を咲かせられるだろうか。よく考えたら去年の「ヒマワリを枯らす」という芸当は大したものだったと思う。ヒマワリなんて放置してもそうそう簡単に枯れるものではない。実験だから仕方ないが、あれのおかげでミミズの実験が大きく動いたのである。ヒマワリの犠牲に感謝だ。

 

2019/05/25 速度差はあれど成長を確認

 

市販の培養土というのはさすが専用だけのことはあるが、今年は私が開発した土も植物を意識しているので検討を願いたいものだ。

 

R

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β

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N

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去年は2鉢ほどこのへんで成長が止まってしまったのだから恐ろしい。今年はせめて3輪のヒマワリが見たいものだ。

 

2019/06/01 まだ枯れてはいないが…

 

今週も大差をさらに広げてRが大きくなっている。続いてβ、Nなので予想通りではあるのだがNがこのまま枯れてしまわないか心配なレベルである。

 

R

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β

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N

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顕著に差が出るというのはやはり実験としては非常に面白い。ただ、枯れてしまうとやはり悲しいものだ。Nも元気に育ってほしいものである。

 

2019/06/08 もはや別の植物

 

顕著な差が出るのが良いなどと言っておいてこんなことを言うのも変だが、顕著過ぎて別の植物に見える。何の比較実験なのかと戸惑ってしまう。

 

R

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β

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N

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去年は天候があれまくって大変だった。今年はそういうことが起きない事を願うばかりである。

 

2019/06/17 出張の影響で遅れて更新

やはり今年も空梅雨→豪雨のタイプの梅雨なのだろうか。今回は3本ともとくに棒などで保護するつもりはない。しかし、去年よりはだいぶ力強く育っているように見える。

開花の日付と、開花時の高さくらいをデータとして取っておくことにする。

今月からはこのようなアングルでないとしんどいかもしれない。

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左からR、β、Nである。ずいぶん大きな差が出るものである。

 

2019/06/22 今年は全て花を咲かすか…?

これまでと同様、左から順に、R、β、Nだ。一番小さなNでも少しずつであるが葉を増やしており、去年のような悲劇は起こらなさそうだ。

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今年は西日本の一部で梅雨入りも送れているので日照時間が長いことも好材料になっているかもしれない。

 

2019/06/29 βの急成長と色艶に大注目

市販の培養土は有機肥料入りである。これは当然なのだが、最初が一番濃くて、徐々に消費されていく。一方βは、ミミズ飼育廃液を定期的に入れるので、蓄積されていくか、どこかで飽和する。こんな違いが出てきているのではないかと思われるほど、βがRを追い上げている。しかも、葉の色艶はβの方がはるかに美しい

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鉢の位置は変わらず左がR、真ん中がβ、右がNである。このβの色艶の良さがこの写真では少し伝わりにくいかもしれないが、素晴らしい状態の良さである。

 

続いて驚かされるのが、βとNの差である。この2つの鉢は、「ミミズ飼育廃液を入れているか、入れていないか」しか違いはない。土はミミズ飼育に最適化して私が作った同じ土である。左がβ、右がNだ。

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フトミミズが飼育下で出す分泌物や排出物は、

・植物の色艶を良くする

・植物の成長速度を上げる

という効果を持っている(良い肥料である)ことはこれで証明できたのではないだろうか。ミミズを鉢に入れたのならともかく、飼育床土を通した水を与えただけである。これで俄然実験が面白くなってきた。私も園芸の勉強に割く時間が増えるだろう。

 

 

2019/07/10 逆転と大差

「β」の猛追により、ついに背丈、葉の数、葉の大きさ、色艶、すべてが「R」以上になった。

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「N」が「R」に遠く及ばない大きさであるという事から考えて、「ミミズ飼育排水」の効果によってこの現象は起こっていると考えるのは自然である。

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ミミズを飼育して飼育箱に水を通してやるだけで、市販の培養土を上回る土を作ることができるのである。当然、培養土を使用する場合にも追肥を行うのが自然ではあるが、「Rに追肥する物」「Nに追肥する物」それぞれの鉢を準備して比較する必要があるため、それは来年以降の課題とする。これらはミミズの都合と関係なく行うことができるので良い課題だと言えるだろう。

 

2019/0713 大勢は決する

ヒマワリの背丈は「R」に「β」が逆転して大差をつけ、もう今年の大勢は決したと言えるだろう。

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「R」はもう花がついてしまったのでこれ以上の背丈の更新はほとんど見込めない。もう一度強調しておくが、「R」は有機肥料の入った花専用の培養土である。これをはるかに凌駕するのがミミズ飼育用土「FK3.0」の「β型飼育排水」の組み合わせなのだ。「FK3.0」のみでは「R」に全く敵わないものが、ミミズ飼育排水を与えるだけでこのざまなのである。

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この2本は同じ土を使っている。同じタイミングで水を与え、日当たりも同等である。違うのは「β型飼育排水の有無」だけなのである。もしかすると、とんでもない物を作ってしまったのかもしれないと、今ワクワクしている所である。

 

2017/07/20 Rが開花

まずめでたいことに、Rのヒマワリが開花した。

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3本の背丈はこんな感じである。

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背丈はRが88㎝、βは114㎝ある。Nは60㎝だ。注目すべきはβとNの違いだろう。ミミズを飼育しているのはこの鉢に入れてある土と同じなのだから、そこを通した水が違いを生むのはミミズの存在、ミミズの分泌物や排せつ物の存在だけという事になる。飼育排水を分析にかけてみるのも面白いかもしれない。

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この「市販の培養土より大きくなった」という事実は、どう考えても快挙である。成分がわかれば、もしかしたら濃縮したり合成したりもできるかもしれないのでやってみる価値はあるだろう。

 

2019/07/27 R開花1週間、β開花寸前

後は花が咲いて枯れていくのを淡々と見守るだけである。気付かないうちに、「N」もずいぶん大きくなった。ミミズの飼育も順調なので、「ミミズが育つ土では植物も育つ、またはその逆」がハッキリしたと言えるだろう。

 

3本の比較だとこんな感じである。

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「β」と「N」の比較だとこのようになる。

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今年は全部開花までこぎつけそうなので、背丈と開花までの日数くらいはグラフにして可視化してみようと思う。

 

2019/08/03  Rは終わり βが咲いて Nに花芽

7/29月曜にβは開花した。その後Rはもう枯れはじめ、その間にNに花芽が出た。今年は全て開花まで行けそうだ。めでたいことである。ところで、RよりもNが大きくなりそうなのが意外である。この辺りの考察もちゃんとやっていければと思っている。

 

3本の比較

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βとNの比較

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βの花

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とりあえずNの開花を待ってレポートを作り始めようと思う。

 

2019/08/10 Rはお化け ベータも終わり Nが開花寸前

 

Nが開花したところで、少し(本当に少しで適当だが)データをいじって何やら考察らしきことができればと思っている。

 

3本の比較写真はこれだ。

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次に、βとNの比較写真。とうとう背丈がほぼ同じになってしまった。

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このNがRより大きくなったという事実は、どのように受け止めればよいのだろうか。Nとβの最初の成長の遅さからしても、初期は確実にRが強かったし、やはり追肥がなければ市販の培養土はダメなのかもしれない。

 

2018/08/17 Nの開花でひとまず実験終了

8/16日に、全長109cmでNが開花し今年のヒマワリ実験は終了した。

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N=1で何が実験なんだと言われるかもしれないが、1本でも差は顕著に出ている。市販の有機肥料入りの培養土は早期に成長し早期に開花をした。そのスピードは圧倒的だったが、βもNも、結局これを上回る大きさまで成長した。

 

毎週或いは毎日前兆を計っていればもっと興味深いデータが出ただろうが、とりあえず今年の指標として、発芽からの日数を横軸、開花時の全長を縦軸として線形のグラフを作成してみた。

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傾きが大きいほど、開花までの平均成長速度が速かったことになる。また、グラフが左で終わっている物ほど、開花が早かったことがわかる。

 

これを見てハッキリ言えることは、ミミズ飼育汁を与えるだけで有機肥料入りの市販の培養土を超える土を作成可能であるという事だ。

 

また、成長は遅くとも、ミミズ汁なしでも最終的に有機肥料入りの培養土より大きくなった「FK3.0」は特段植物の育成に問題を抱えているわけではなく、むしろ優れた方に分類できそうだ。

 

これらの実験結果を踏まえると、「植物も育たない不毛の土」であった「NPS2.0-F」よりも、はるかに栄養豊富な土でミミズが飼育できており、事実として真夏になっても春に採取した亜成体ミミズが命をお落とさない結果になっていることから、やはりミミズの住みやすい土は植物も育つ土なのだという事を、(鶏も、タマゴも)証明できたことになる。

 

このページでは以下、来年に向けての課題を見つかった時のメモにすることにする。

 

 

 

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