実験飼育鉢の命名
今年の実験は、ミミズ飼育済みのNPS2.0-Fを利用した土で育てる鉢を①α(アルファ)と呼ぶ。また、土はNPS2.0-Fを基本とし、ミミズ箱を循環させて排出された水を定期的に与える鉢を②β(ベータ)と呼び、NPS2.0-Fだけを用いて水だけで育てる鉢を③N(ニュートラル)、市販の「野菜と土の培養土」で育てる鉢を④R(リファレンス)と名付けた。
スポンサーリンク
目次
使用するヒマワリの種と植木鉢
繰り返しになるが、育てるヒマワリは以下のヒマワリである。
このヒマワリは一本立ちで一輪の花を咲かせ、草丈は1m前後という事なので、特に難しい処置を必要としないであろうという希望的観測から選出された。この種を鉢の中心に3粒ずつ撒き、生育の良い物1本を残して他は間引きする。使用する植木鉢は以下のものだ。
小学校の頃にヒマワリを育てた鉢よりはずいぶん大きいが、あれは多分可哀相な事をしていたのだなと今になって思い出される。
この実験は2年計画くらいで考えており、おそらく1年目(2018年)の実験は市販の花の培養土が圧勝すると予想している。まぁそもそも、ミミズを飼育するために開発された床土でどの程度ヒマワリが育つのかなど私も全く見当がつかないのが現状だ。
α型飼育、β型飼育から供給される廃土、排水はそれぞれミミズ箱4号α、ミミズ箱5号βから供給する。
今回この二つのミミズ箱は、ミミズの飼育実験を兼ねてはいるが基本的にこのフトミミズ園芸を中心にして飼育を行っていくことにするので2018年のミミズ飼育は、ミミズが減っても「ノラクラミミズっぽいミミズをこの二箱で同じ数くらい飼う」事がミッションとなる。
2年目には、その培養土とα型飼育廃土との混合土や、培養土にβ型飼育排水を与える、などの実験を行っていく予定だ。まずは単純な系から、という事で今回はこういうのは避ける。市販の培養土には勝てないだろうが、複雑に肥料を組めば結果は変わってくるのではないかと思う。長い目で見てほしい実験である。
それでは実験にうつろう。
実験開始
2018/05/09 タネまき
それぞれに床土を用意した植木鉢に、ヒマワリの種をそれぞれ3粒ずつ撒いた。これからずっと、朝夕に鉢の下から水が滴るまで水をやる。
今のところは発芽を待つのみだ。発芽前の鉢の状態は以下のような様子である。発芽することを祈るのみである。
α(アルファ)
β(ベータ)
N(ニュートラル)
R(リファレンス)
今後は、発芽から各日曜ごとくらいに成長の様子をレポートできればと思っている。上手くいかない事もあると思うが暖かく見守っていただきたい。
ちなみにRの鉢に入れた培養土は以下のものである。
このような態勢で、今後のヒマワリの成長を見守っていくことになる。どうか、まず発芽することを祈っておいてほしい。
2018/0514 4つの鉢で12撒いた種のうち8つが発芽!
何という事だ。1~2週程度かかると書かれていたヒマワリの発芽だったが、なんと「α」で2つ、「β」で1つ、「N」 で2つ、「R」で3つの発芽がこの日確認された。
写真を撮ってもぼやけてしまうのでもう少し大きくなったら写真を晒そうと思う。
まぁ、発芽など水にぶち込んでおけば起こるものである。これからの成長ぶりは、背丈や葉の枚数、果ては花の直径などによって大きさを評価して、間接的に使用した土の評価を下したいと思っている。とりあえずは全て発芽するかはわからないが、それを待って間引きするときに備えることにする。
2018/05/16 まいた種の12個中11個が発芽
この日の朝には、11個の種が芽を出していることが確認された。発芽率的に、1本くらい発芽しないことは想定内である。「R」以外の鉢で発芽したタネはいずれも真っ直ぐ伸びていないが、それはおそらく土に空隙が多いからであろう。
「R」の芽。3本とも揃って上に伸びている。
一方、「β」の芽はこんな感じである。「α」も「N」もこれと同様である。
後々育ってくれるのであれば、この段階が美しい必要はないと思っている。
全ての芽で双葉が出そろい、本葉が出始めたら各鉢の一番大きい物を残して間引きを行う予定だ。
2018/05/20 芽の間引き
12個全ての種が発芽し、すべての鉢で少なくとも1本の芽から本葉が出たこの日、各鉢の一番大きな芽を残して他の芽を取り除いた。
この時点でどの鉢のヒマワリが大きくなりそうかわかってしまったようにも見えるが、今後の想定外の逆転に期待したいところだ。各鉢の間引き前後の写真を載せておく。
「α」
↓
一番期待している土だが、今の所一番目が小さい。水はけがよすぎることと、土が若干かたいことが影響していると思われる。
「β」
↓
水以外に肥料になるものを与えるの箱の鉢だけである。それ故に後半の伸びに期待だ。もしこれが「N」より明らかに小さいときは「β型飼育排水」の「負の影響」まで考えなければならなくなる。できればそうはなってほしくない。
「N」
↓
「NPS2.0-F」は言ってしまえば半分以上は「紙」、そこにちょっと腐葉土が混ざっただけの物体なのだが、こんなものでも育つとしたらヒマワリはすごいとしか言えない。
「R」
↓
植物を育てるための「土」はこの鉢だけである。この鉢が今のところ明らかに一番目が大きい。根が伸びた「α」、肥料が追加される「β」がこれにどこまで追随できるかが見ものである。今の所印象だけで大きさを計っているが、もう少し大きくなったら高さくらいは数値化していこうと思っている。
2018/05/27 間引き後1週間
元気な目を残して間引きを行ってから1週間が経過した。一番育ちざかりな時期だともうが、ひとつの鉢を除いて生育がよろしくない。それぞれ見ていこう。
「α」
「β」
「N」
「R」
芽の出はじめはタネに含まれた栄養で芽が成長し、根が張ってからが土の勝負になることは解っていたが、あまりにも歴然とした差が出ていることには少々驚いている。「β」と「N」なんて既に枯れそうである。今後が心配であるが、今年の実験はこの条件と決めたので、可哀相でも粛々と実験を続けていくことにする。
2018/06/10 圧倒的大差・梅雨入り
スケールも何もなくて申し訳ないが、今、そういう気分にならないほど市販の土が圧倒的な差をつけてミミズ園芸を引き離している。
とはいえ、この実験はそもそも最強の土を発見することではなく、データをとることだったのだからこれが成功とか失敗とかいうのではない。「R」が圧倒的なことはそれはそれで、そして他の三つがどのような大きさになるのか、それを知るだけで良いのである。
植物は光合成で育つのだと言っても、その根が吸っているのが水だけではない事を今更(本当に今更であるが)思い知らされている格好である。
2018/06/10 これ同じ植物なのか?
差はさらに顕著になった。Nとβはもう枯れてしまいそうである。かろうじてαはRさえなければ元気に育っているように見えてしまう。
2018/06/24 状況はあまり変わらず
差は開くばかりであるが、変わったことと言えばαが少し伸び始めたところである。
2010/07/08 Rに花芽、αの急成長、N&βの枯死
Rはもうタネのパッケージに書いてあった1メートルくらいになった。培養土恐るべしである。αは根が伸びたのか、急速に成長スピードを伸ばし始めた。N、βはもう枯死と言っていい状態だ。
2018/07/08 Rが開花、αが栄養失調脱出?
これは嬉しい。当サイトが咲かせた初めての花だ(市販の培養土で)
αも目に見えて大きくなってきた。どんな可愛い花が咲くのか楽しみである。
Rの花は正面から撮ったものがあるのでご覧いただきたい。
実に、ヒマワリという感じのヒマワリで私は満足である。この時点でのαの長さは114㎝だった。
αは寄って撮るとこんな感じである。どうやらこのまま成長してくれそうだという予感はする。
これでαが小さな花をつけたら面白いのだが。今後に期待だ。
2018/07/29 R、花が終わると枯れる。α、ヒマワリらしく急成長
Rはお化けみたいになってしまった。αはやっと葉の形がヒマワリになった。
右3つの床土の基本となったNPD2.0-Fは根を張るのが困難だったのだろう。それが、ミミズが一定期間住んだことで団粒化されていたαだけは緩和されていたのでこのような結果になったのだと考えられる。
いずれにしてもNPS2.0-Fは培養土のような植物が育つのに十分な栄養を持っていないこともわかった。これはイコール、ミミズの栄養がないという事にはならないのだが、まったく無関係では無かろうと思う。ミミズ飼育にもフィードバックをかけていきたい内容だ。
2018/08/05 目覚ましきαの成長
R、N、βはもう枯れてしまったのでここからはαのみの紹介となる。
見違えるほどに成長した。根が張ってさえしまえば、培養土と同じとはいかないまでも大きく成長するのだという事がわかった。もうすぐ花芽もつけそうな雰囲気である。
2018/08/12 花芽の出たα
無残なβの鉢とともに立派なαをご覧いただきたい。
もう枯死してしまったRの3/4くらいの高さで花芽が出た。そこはやはり土に含まれる肥料分の差なのであろう。これからどんな花をつけてくれるのか非常に楽しみである。
2018/08/26 αが開花
幾度もの台風と豪雨に耐えて、Rから遅れる事1.5カ月、ついにαが開花した。まさに感動の瞬間であった。
茎の長さは85㎝、Rより約30cm短い。それでも花の大きさ自体は大差ないか、ややαが大きいくらいである。
これは実験なので、枯死してしまったβやNが失敗したのではない。αには、トイレットペーパーを基材としながらも、根が張るだけの「土としての素養」が備わっていたという事である。それはひとえに「そこでミミズを飼育した」ことに尽きるのだ。
しかしこれで分かったことがある。
トイレットペーパーを基材にしたミミズ飼育用土は、あまりにも栄養が足りないという事だ。これは植物だけに言えることではないと思う。ミミズの飼育にだって、まったく栄養が足りないのではないかと、気付かされた瞬間であった。2018後半から2019年に向けてのミミズ飼育では、トイレットペーパーを基材としない新たなミミズ飼育用土の開発に着手しようと決意した瞬間がこれである。
どうか来年の実験と、ミミズ飼育記録を楽しみに待っていただきたいところだ。