このページでは、統計をとるために主に鯉釣りに専念した結果得られた鯉の大きさに関する統計データと、さらに大きな鯉を釣るために必要な条件、そして鯉が残していった鱗の解析などといった、鯉釣りのデータを紹介する。
釣りをしているだけでは気付かない発見や、大きな魚を釣ることの重みが感じられるデータもある。
目次
某ダム・パンプカで釣れた鯉の大きさ分布
某ダムでパンプカで釣った鯉の大きさは、どのように分布しているのだろうか。データで導かれる、メーター超えの可能性はどれくらいだろうか。
簡単ではあるがヒストグラムと平均値・標準偏差を求めてみたので紹介する。
某ダムで2016年4月から6月末までにパンプカで釣れた鯉の大きさのヒストグラムである。Nは総釣り上げ数65、μは平均値で71.0、σは標準偏差で7.3である。
2つのピークがあるため正規分布とは読めないが、あえて強引に正規分布だと仮定すると、μ±2σの56.4~85.6cmの範囲内の大きさの鯉が釣れる確率は95.45%なので、
85.6㎝より大きい鯉が釣れる確率は残りの4.55%のうち大きい方半分の2.28%の確率となる。
実釣における86㎝以上の確率が1.75%なので、妥当ではあるがクジとしてはやや引き弱だったことになる。
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これが受験で使う「偏差値」で言うところの70以上だ。いや、「校内偏差値」のように「ダム内偏差値」というのが正しいか。
同様にして、μ+2.5σ、つまり89.3cmより大きい鯉が釣れる確率は約0.6%だ。今回の倍の鯉を釣って1匹混じればいいほうだ。ダム内偏差値は75以上である。
μ+3σ、つまり92.9cmより大きい鯉が釣れる確率は約0.1%なので1000匹くらいは鯉を釣らなければ混じりそうにない。ダム内偏差値は80以上となる。
更に、μ+4σ、つまり100.2㎝より大きい鯉を釣る確率は0.003%、10万分の3である。ダム内偏差値は90以上。
あのダムにパンプカで釣れる鯉は4万匹いるだろうか。いないだろうなと想像される。受験でも偏差値90の人って、ほとんどの人は見たことないのではなかろうか?全科目で総合して80以上ですら、私は見たことがない。
ちなみにであるが、ヨーロピアンスタイルで釣った10数匹の鯉を足してもデータに大きな影響はないし、足さずにヨーロピアンスタイルだけの統計をとってみても、標準偏差がわずかに大きく平均値がわずかに小さいものの、同じような値だったことを追記しておく。
さらに大きな鯉を釣るには
今回調査(?)を行った某ダムでは、90cmはそのうち釣れそうだが、95センチともなると、ほぼ不可能だと言ってしまっていい。1メーターは生息していないだろう。鯉が大きくなる条件として、以下の物があると言われている。
①汽水域
②富栄養化した水質
③水深がある
今回調査を行ったダムでは、満たすのは③だけである。どうやらここで結論が出そうだ。もっと大きな鯉を釣りたければ、富栄養化した湖沼や河川の汽水域に行くべきである。
琵琶湖湖南で大きな魚が上がるのも、富栄養化の影響だろうと思う。汽水の田沢湖では鯉は3年で1メーターになると言われているし、富栄養化の象徴ともいえる霞ケ浦でもメーターオーバーの鯉が釣られている。
どうやら、1メーターの鯉を釣るには釣る場所を変えるしかないようだ。
86㎝の鯉が残していったもの
2016年5月29日、本調査最大の86㎝が釣り上げられた。この鯉は私の扱いが悪かったために1枚のウロコを残していった。
ここでは、このウロコについて解析し、あの鯉が何歳くらいだったのかを明らかにしていきたい。残っていたウロコはこれである。
手のひらの大きさと比較すればわかるが、大きい!ちなみに私の手は平均的な人と比べるとかなり大きいほうである。このウロコをルーペで拡大して写したのが、下の写真だ。
年輪が刻まれているのがわかる。それにしてもつくづく立派なウロコだと思う。
表面にはつやがあって年輪を数えられなかったので、裏面で数えてみたのが下図である。
年輪は、少なくとも10個見つかった。数えられていないものもあるかもしれないが、この鯉は少なくとも10歳で、11歳になる春を迎えている。
もっとも、ウロコははがれても再生する物なので、これが正確な年齢とは限らない。もっと年を食っている可能性もある。
魚は生きている限り成長を続ける。調査を行ったダム湖では、86cmの鯉が、少なくとも10歳だということがここでわかった。やはり、大きなサイズアップはここでは期待できないだろう。
鯉は20年生きると言われているが、厳しい野生の環境ではなかなかそうはいくまい。私のようなものに釣られて病気になったりするかもしれないし、鳥にやられてしまうことだってある。
そう考えると。厳しい生存競争にさらされて10年以上生きた鯉を釣ったことは、重みがあることなのだと痛感する。