鯉はどこにでもいる。鯉は賢い。それゆえに鯉釣りは、非常に奥が深い。鯉は警戒心も強く、そして、難しい。
色んなエサで釣れる反面、本当に大きなものを釣ろうとするとエサ、場所、気温、水温など様々な要素を考慮に入れないと仕留めることができない。
その引きは淡水魚では圧倒的に強く重いため、非常に楽しい釣りである。難しいと言ったが、簡単に釣れる方法もある。
そんな鯉の手軽な釣り方について、ここで説明していくことにする。
鯉を手軽に釣る -そう聞いただけで方法がもう思いつく人も多いだろう。
パンの浮かせ釣りだ。そう、パンプカ釣りと呼ばれる方法である。私はボイリー・ヘアリグを使ったヨーロピアンスタイルと、このパンプカ釣りの両刀で鯉を狙っている(時には食わせだけをつけたブッコミ釣りをする)。
ヨーロッパから伝わったボイリー・ヘアリグは日本の鯉釣りを激変させたと言っても過言ではない。そこらへんに出回っているマニュアルに従って仕掛けを投入すれば、鯉は間違いなく釣れる。
しかし、小回りが利き、スリリングで、手軽で、尚且つ圧倒的な釣果をあげるのは、パンプカ釣りのほうなのである。邪道だと敬遠する人も多い釣り方だが、やってみれば深みもある釣りである。まずはやってみよう。
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パンプカ釣りの仕掛け
パンプカ釣りではエサを水面に浮かせて釣るので、軽さが命である。
3000番以上のリール→道糸→鈎(直結、またはハリス付きの鈎に電車結びなどで直結)
または、
3000番以上のリール→道糸→小さなサルカン→ハリス→鈎
このどちらかで行えばよい。図を見ていただくと分かるが、とてもシンプルだ。
70㎝以上の鯉は当たり前に釣れるので道糸・ハリスはどちらも4号以上が望ましい。直結でもサルカンを使ってもいいが、鯉がスレているなら直結の方が釣果は上がるだろう。
私はハリスを結ぶのが面倒なのでハリス付きの針を買ってきて16番くらいのサルカンを使って道糸とつないでいる。
強くて簡単な糸の結び方は、釣り小話にまとめたのでそちらを参照してほしい。
ナイロンの太い糸をスピニングリールに巻くと、意図せずバラバラと糸が放出されてライントラブルが起きることがある。これは糸をきつめに巻きなおして1週間ほど放置すればある程度防げるものであるが、ルアーフィッシング用の柔らかい糸を使用すると劇的に起こりにくくなる。
私が使っている糸はヤマトヨテグスの「ファメルスーパーソフト」である。
非常に良くできた糸で、しなやかなナイロンラインの中でも特にしなやかで使いやすい。
値段も安く、私は今のところこれ以上のナイロンラインはないと思っている。絶賛おすすめのラインだ。ただし、釣具屋さんでは100mしか売っておらず、300mは買えない。買いだめする人はネット通販で手に入れよう。
鈎は、どうせパンで包んで隠してしまうので何でもよいのだが、鯉鈎14号くらいが適切だろう。目立たない黒色で、伸びてしまわない鈎が良い。
パンをつけるのにカエシがあっても無くても何の影響もないため、バーブレスフックを使用すると釣れたときに鈎を外すのが簡単だ。
手軽にやるならハリス付きの「鯉スレ」がいいだろう。これを買う時は、ハリスの太さには注意していただきたい。
延べ竿のようにはしならない、短い竿を使用するため、太いハリスでないとあっという間に切られてしまう。
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ロッドは、パンだけが付いた軽い仕掛けを10mほど飛ばす必要に迫られることがあるので、ガイドの大きいルアー用のものが望ましい。
しかし、バス用のスピニングロッドでは少しばかり頼りない。竿が柔らかすぎると、糸の強さだけに頼ることになってファイトが長引くうえ、引き寄せた後のランディングが困難になる。
鯉釣り用の長いリール竿を使用してもいいのだが、吸い込みや、ボイリーを使用するヨーロピアンスタイルの釣りと違って圧倒的に手返しが多い釣りのため、長い竿はとり回しが悪いし、小回りもきかない。
狭い場所にたかっている鯉を狙う時にも、ルアー用の短い竿が有利だ。紹介するのがパックロッドなのは、私がかつてチャリンコアングラーだったからである。
エサに使うパンは、スーパーやコンビニに売っている一番安い食パンで何の問題もない。
スティックパンやコッペパン、蒸しパンなどで釣れないことはないが、鈎持ちが非常に悪い。注意点は6枚切りのほうが4枚切りよりエサ切れを起こしにくい、という程度である。
食パンは実に多彩に使えるエサだ。これについては「パンプカ釣りの要点」で詳しく説明する。
また、基本的に釣れる魚はすべて大きく、抜きあげは不可能なのでタモ網を必ず持っていこう。枠は50㎝くらいはないと大型に対応できない。
ラバーのネットを使うことで、魚へのダメージはだいぶ小さくなる。
その他の注意点としては、大きな魚が近距離でかかることが多いため、リールのドラグは必ず緩めておくことである。竿と糸の力関係によるが、ドラグががちがちの状態で足元の元気のよい鯉が釣れるとラインブレイクか、竿を向けている方向が悪いと最悪の場合竿が折れてしまう。
このほか、アワセが遅れると鈎をのまれたりすることがある。ここで鈎を外す手段がないと、糸を切ることになり、鯉は生きていけない。
ヘラブナ用などの「ハリ外し」と、硬いところにかかった時のためのプライヤーは最低限持って行ってほしい。
次ページ「パンプカ釣りの要点」では、ポイントの選び方、釣り場に着いたらやることなど、パンプカ釣りのキモについて述べていこう。