Thrilling Tsurilling

大きな魚を手軽に釣ろう

筏でのアカメ釣りのコツ~釣れない時のヒント~

アカメ釣りの現状と新たなる挑戦

 

アカメという魚は、生息地が限られていながらも多くの日本の釣り人にとってその名前を聞いてすぐに思い浮かべることができる魚だ。その文化的背景として、釣り漫画「釣りキチ三平」の影響が大きいだろう。この漫画において、アカメは「日本三大怪魚」の一つとして数えられ、その魅力と釣ることの難しさ、大きさ重さを多くの読者に伝えたのである。

 

近年、須崎市の浦ノ内湾の筏においてアカメが釣れるという情報がネット上で広がり始めた。これにより、アカメを求める釣り人が増加してきた。渡船の船長さんからも、アカメ釣りを求めるお客さんが増えたという声が聞かれるようになった。

 

アカメ釣りが盛んになるにつれ、筏からなら簡単に釣れていたアカメが釣れにくくなってきたのも事実のようだ。一部の釣り師や渡船の船長からは、アカメがスレてしまったとの指摘もある。スレとは、釣りのプレッシャーや過去の釣られた経験により、魚が釣りに対して警戒心を持ち、なかなか餌に反応しなくなる現象を指す。

 

一方で、現在、浦ノ内湾の多くの筏チヌ師が直面する問題がアカメによって掛けたチヌが食われるというものである。1日やってチヌ師が掛けたチヌが、半分近くアカメに食われてしまうことがあるのである。しかしながら、アカメ狙いでチヌを背掛けにして泳がせて何時間たっても、アカメは警戒心を持ち反応しないことが多々ある。アカメは、これが罠であると見切っているのではないかと考えられる。

 

この問題に対する解決策として、新たな釣り方法を筆者は考案した。詳しい方法については以下で触れるが、この新しい方法はアカメにとって未知のものであり、高い効果を期待することができる。ただし、この方法も完璧ではなく、現在(執筆当時2023年)から数年のうちにアカメがこれを学習してしまう可能性があると筆者は予測している。


アカメは、釣り人にとって魅力的な対象であり続けるだろう。その釣り難易度の高さ、そして常に変化するアカメの行動は、釣り師たちの挑戦心をくすぐるものである。新しい手法の開発や、その効果の期待、そして再びのアカメとの駆け引きが続くことだろう。

 

目次

 

 

1-1動画で観たい方へ

以下の動画で基本的なことはすべて説明している。長くてくどい動画であるが、絶対に筏で釣りたい、通っても釣れないという方には特効薬になるだろう。


www.youtube.com

 

2-1朝一のアカメの活性を上げる「ボラ釣り」

効率よくアカメを釣るために、朝一にボラをかけて大暴れしてもらおう(別に釣り上げられなくても良い)。これによってアカメが活性化し、餌を食う意欲が格段に増す。複数のアカメがボラを追い回す壮絶な光景が繰り広げられることもある。筏にボラがいない場合は仕方がないが、いるならばやっておいて損はない工程である。

 

※ちなみに上記の動画では、ボラの釣り方に言及していない。ボラの釣り方は以下の動画にまとめてあるので、必ず見てほしい。小魚もこの方法で釣れるが、ボラばかり釣れる時の対処法は後述する。


www.youtube.com

 

3-1筆者ブロが考える2023年時点でのアカメ必勝法

釣り筏の下で生活しているアカメたちが、悲しくも学習してしまった方法を利用する。それは、釣り人が釣った小魚を、普段より弱った状態で「食べやすい位置である水面からリリースする」ということである。

 

これを学習した結果、アカメたちは筏の下中層やや底寄りで釣れた魚をすべて見ており、大きめの魚が掛かったら底付近でそのまま食う、小さな魚が掛かったら水面までついていって、1~3分程度なら待ち構えていてリリースされたものを食う、という行動をとるようになったと考えられる。(これはチヌの食われ方や表層での小魚への反応からしてほぼ間違いない)

 

チヌ釣り師は勿論チヌ以外をリリースするし、アカメ釣り師も「こんな小さな魚は食わないだろう」と思ってリリースする。

 

これである。このようにしてリリースされた小魚たちは見えないところでほとんどアカメに食われている。このリリースされているかに見える小魚(ここで言っているのはヘダイ、チャリコ、キビレ、チヌ、メジナ、アジ、サバ、ヒイラギ、コノシロetcである)にでかい針を背中に仕込んでおくことでアカメが釣れるのである。

 

餌はどの魚種がよく釣れるか、という発想を捨てよう。その時上がった魚に即背掛け→即投入が釣れる。このことを肝に銘じておこう。(上記動画に2回、そのシーンが映っている。そのうち一回は投入後1秒くらいで食われている)

 

3-2最強ではないが違ったパターン①

釣れた魚をアカメに取られずに一気に巻き上げると、どうしても高速ゴリ巻きになる。こうした場合、アカメが食わないフグやゴンズイが釣れてもアカメが勘違いして追ってくることがある。これをリリースした時にがっかりしたアカメに、他の背掛けの魚をプレゼンテーションするとあっさりアカメが食ってくることがある。(上記動画にもその場面が収録されている)

 

3-3最強ではないが違ったパターン②

釣り筏に釣り人がいる状態(これは朝一にボラを釣ることでアカメに「お知らせ」することができる)では、キープされて弱った魚が突然リリースされることも、アカメは知っている。ちなみに、一度やって釣れなかった背掛けの魚をずっとその場に泳がせておいてもアカメは1日やってもほぼ食わないが、1時間程度たも網やスカリに隠しておいた同じ魚をたまに背掛けで落とすとバクっと行くことがある(この場面も、最初の動画に収録されている)。なかなかの記憶力だと思うが、アカメはずっと泳がせている魚は見切っている、これは時間を無駄にしないために重要なことなのでしっかり覚えておこう。

 

3-4小魚が釣れない時

 

ダンゴ釣りではボラばかり釣れることがある。これでは時間も体力も無駄にしてしまう。ただ、アホみたいにボラが寄っているときは、フグやゴンズイが寄り付かない場合が多いことも事実である。

 

こんな時は、ボラがフグなどをケチらしてくれていることを利用してみると良い。オモリをつけてオキアミを複数ハリにつけ、直接底まで一気に送り込んでみよう。そうすればボラは釣れず案外、チャリコ、ヘダイ、キビレ、チヌなどがボコボコ上がってくる。これも覚えておいて損はない手法の一つだ。

 

ボラ使用に関する余談

 

最初に釣るといったボラは使わないのか?という疑問を持たれる方も多いだろう。これは難しい問題である。ボラは確かにアカメを寄せる力はダントツに大きい。

 

しかし、ボラに背掛けをして泳がせる場合、そのボラを数分でフックアウトで捨てるくらいの覚悟で薄く浅くボラに掛けなければ、アワセが乗らないのである。単に刺しやすいように背掛けすると、竿が折れるかと思うくらいにアワセを入れてもボラからハリが外れない(アカメが吐き出して結果釣れない)、ということは頻繁に起きる。

 

ここでボラにこだわって時間を浪費すると、その日をボウズで過ごすことになる。私が何度も体験したことだ。

 

あなたがボラの薄い背掛けに相当の自信があり、100cm以上のアカメにしか興味がなく、竿を折る覚悟でフッキングができるならばボラを使用すればいいが、当ページは一応「最初のアカメをどうしても釣りたい」という人向けに書いているので推奨しない、というだけである。ボラが最強餌なのは、事実である。

 

ボラのかけ方に関しては、ボラに細糸を貫通させて細糸と太糸でハリを結び、ボラに直接フハリを刺さずに細糸をブレイクさせることでアカメを釣り上げる方法がyoutube上に見つかる。これが迅速にまねできるのであれば狙って見てもいいとは思う。

 

4-1筆者が考える2023年時点でのアカメ釣りの基本姿勢

当記事の3-1を絶対的な基本姿勢とし、3-2、3-3を複合的に使うことでよいシーズン(6~9月)であれば1日ファイト2回以上、1尾以上程度の釣果は期待できるのではないかと思う。皆もぜひ、この方法を試してみるとよいだろう。

 

5-1タックルの選び方

こんなのはあまりこだわらなくてもいいのだが、ラインとフックに関しては当サイトを参考にしたものが勝者になると私は思っている。そのくらい、ラインとフックが重要だ。

 

ロッドやリールなんて、はっきり言って、何でもよい。ベイトなら怪魚系のものでHくらいの堅さで、レングス2~3mの間、リールは最大ドラグ力11kg以上(推奨は13kg以上)、それくらいである。スピニングでやる方なら、中深海でヒラマサなどを泳がせで釣るような短い竿がこれに該当しやすいだろう。安いものも売っている。例えばこんなのだ。これは両軸のモデルだがトリガーがついていないのでスピニングで使える。

 

 

スピニングリールはもう好みが分かれ過ぎるし自分で釣っていないので紹介しないが、この竿でドラグ力が11kgあればたいていのアカメは取れるだろう。ただし推奨はしつこいようだが13kgである。

 

5-2筆者が使ったタックル:ロッド

Abu Garcia World Monster 734H

 

 

2019年に購入してコロナ禍に突入、結局持て余していた怪魚ロッドである。ついに出番がやってきた。100cmクラスをかけたときにドラグファイト無しだとさすがに悲鳴を上げていたが、何とかアカメをこの手に収めてくれた、思い出のロッドになるだろう。

 

 

5-3筆者が使ったタックル:リール

Abu Garcia REVO BEAST ROCKET

 

 

これは素晴らしいリールである。巻き心地とか言わなければ魚を捕る道具としては日本で販売されているすべてのリールを含めても最強クラスだと思う。

 

ただ今回、①9.2:1の超ハイギアであること②最大ドラグ力が11㎏であったこと が災いした部分もある。アカメがかかっても全く巻けないし、90cm台のアカメにガチガチのドラグを3m以上引きずり出された。

 

私はこれを使用したが、ギア比、ドラグ力の面から新しく用意するならばREVO BEASTのほうを推奨したい。

 

 

まぁ、正直ロッドとリールなんて何でもよい。怪魚と戦って壊れない、コントロールを失わなければ良いのである。

 

※「マスレンジャーでやってみた!」「バスロッドでやってみた!」などを今後発信する人がいるだろう(もういるかもしれない)。こういうチャレンジはそれはもしかしたら釣れるかもしれないが、魚がコントロールできない中で強い糸で綱引き状態で博打をしているに過ぎない。発信者がもし腕で釣っているのだとしても、受信者はファイトを再現できないし、そもそもyoutubeなどで見て釣りをしに行く人でやり方を完コピする人は少なく、だいたいが劣化コピーである。発信者はその辺に自覚を持ったほうが良いだろう。受信者のほうも、最初は無難にチャレンジしよう。

 

5-4筆者が使ったタックル【推奨】ライン

サンヨーナイロン ライン アプロード ソルトマックスショックリーダー Type-N(ナイロン) 130lb

筏でアカメを釣るなら私はこれ一択である。モノフィラメントでロープとのスレにも強く、太く、耐摩耗性は(何をもって耐摩耗と言うのかによるが)フロロよりあるだろう(これは傷がつくかどうかという話ではなく、やわらかいものとかたいものに傷が付いた時にどちらがどのように破断するかの話である。)

 

 

スピニングタックルで臨みたい方は、このようなを道糸にすると糸がはじけてバラバラと出てしまうだろうから、やはりPEとショックリーダーの組み合わせになるだろう。リーダーは上記の糸でよい。4号から5号くらいのPE(最低60lbが目安くらいか)に上記の糸をリーダーとして長め(2ヒロ~3ヒロ、3~5m)とってドラグをガチガチにして出さなければアカメはとれるだろう。気を付けるのはロープだけ、という状況にしておきたい。

5-5筆者が使ったタックル【推奨】フック

DECOY デコイ PIKE パイク JS-3 タイプR #4/0

これも私のゴリ押しフックである。このハリはネムリ(針先が少し内側を向いている)が入っていて、さらにフトコロが深い構造をしている。

 

 

よくネットで推奨されている引き縄針では、アカメのまるで壁のような喉の奥で浅くフッキングすることが多い。(私は最初この引き縄用のハリを使用して喉にかかって5回も6回も7回も8回も連続でアカメをバラした。)バラしたのになぜそんなことが分かるかというと、ハリから少し離れたところの糸がアカメの歯でざらざらになるからである。

 

ところが上述の私の推奨ハリを使うとたとえバラしたとしてもこういったことはなくなった。ネムリが入っているためにハリがアカメの口の出口付近を探してフッキングしてくれるのである。これがカンヌキ(唇の横の部分)や上顎に深くかかればフックアウトはほとんど起こらなくなる。

 

このことに気づいてからの私はフッキング後のキャッチ率は8割である。(シングルフックでシーバスをかけたと思えば、上等な数字だろう。相手はそれ以上の強烈なエラ洗いをするアカメである。)実は私は、このハリに変えるまで一度もアカメが釣れなかった

 

6-1アカメとのファイト

 

アカメの引きは強烈である。まして、掛ける場所は筏。ドラグファイトはできない。「ドラグ出しとけばバテて上がってくるだろう」という発想は、アカメが釣れない原因No.1だ。ロープに巻かれて終了する。今すぐアカメ用タックルのリールのドラグをガチガチに力いっぱい締めよう。(それでも出されるのだから)

 

竿をノされても綱引きする、脳筋ファイトで挑むのである。しかしアカメはたとえ90cmくらいのものでもほかの90cmクラス(私は鯉やアメリカナマズ、ハクレン、ソウギョなどの90cmクラスのファイターとは何度も戦ってきた自負がある)の魚とは桁違いのトルクを見せる。

 

しかしすぐにバテるので、近距離で掛けてとにかくドラグを出されない、要するにロープにだけ気を付けてアカメをいなすことだけを考えてファイトすれば、3分もやり取りすればあきらめたように上がってきてタモ網でとれる。竿が折れると思ってもドラグを緩めてはいけない。

 

6-2アカメが筏の下に突っ込んでいく

 

筏でのアカメとのファイトにおいて、オカッパリでは起きえない、気を付けるべきことが一つある。それは、アカメが筏の下、水面近くであなたの真後ろ方向へ突っ走るということだ。

 

通常自分の真後ろに魚が走るということはあり得ないのだが、筏はその性質上これが起きてしまう。この時の対処法は、「竿を真下に海に突っ込んで耐える」である。写真で見てみたほういいだろう。

竿を真下に突っ込んでアカメとファイトする

これができないで、竿をまっすぐ構えて真後ろに走られたらどんな竿でも折れるリスクがあるし、筏の木材やフロートの貝やフジツボでラインブレイクも簡単に起きる。

 

前方、横方向に走ればラッキー、ドラグを出さないようにいつも通りファイトするだけでよい。筏の下へ入った時だけ、このように竿を突っ込んでファイトすることをイメージしておかないと、なかなか咄嗟にできる動作ではない。これは頭に叩き込んでおこう。

 

まとめ

 

1.朝一にボラを釣っておくと、アカメがやる気になる

2.最適なエサは、魚種やサイズが云々ではなく、今釣ったその魚を素早く出すこと

3.ほかの釣り方も少しアタマに入れておこう

4.タックルは、壊れなければいい。糸とハリにこだわろう

5.アカメとのファイトは、ドラグを出さない

6.自分の後ろに突っ走られるという未体験ゾーンが存在する

 

と言ったところだろうか。これを読んで動画も観れば、あなた(もしくはそのグループ)は1釣行目でアカメをゲットできるだろう。

 

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