Thrilling Tsurilling

大きな魚を手軽に釣ろう

釣りのマナーに関すること

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私は数多くの釣り人のうちの、無力な一人である。業界の人間でもなければ有名人でもない。しかし、webサイトを立ち上げた以上、情報を発信する立場にある。しかも、当サイトは複数の対象魚種を扱い、かつ、その入り口を提示している部分が多くある。

このような状況に身を置き、放っておいてはいけないのが釣りにおけるマナーの部分だと思う。この小話は、耳が痛くなる人もいるかと思うが、これは水辺に親しむ人間、動物たちの安全と命にもかかわる問題なのである。


こう書くのは、私自身、捨てられた釣り糸に躓いて転んだことやフックが刺さったこともあるし、釣り糸や鈎が絡まって命を落とした生物たちも、たくさん見てきたからだ。


議論以前の最低限のマナーを守れない人は、いつまでたっても入門前の素人である。これは、釣れる釣れない、上手い下手の問題ではない。最低限のマナーを守れない、そんな人は、「釣りのやり方」を知らない人だ。釣り人たる資格はない。

私の考える釣りのマナーを記しておく。ここまで読んで離脱しようとしたあなた、あなたにこそ読んでほしい項目である。

最初の方はそもそも釣り以前の問題になってくると思うが、守られていないのである。私は、このサイトでの情報発信しかできない。それが少しでも力になればと思っている。

 

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目次

 

出したゴミは持ち帰る

ゴミをポイ捨てするな -こんなことは釣りをしない人でも、どこの誰でも守って当たり前のことである。しかし、実際に釣り場にゴミは落ちている。

 

そのゴミの多くは、釣り人によって捨てられたゴミだ。釣り糸、ルアーのパッケージ、千切れたワーム、フック、吸い殻、練りエサの袋、コンビニ弁当の入れ物、ペットボトル、放置された「へら台」、外道で釣れたと思われる「魚そのもの」・・・挙げればきりがない。

 

釣り糸は特に危険である。足に絡まると転倒する恐れがあるし、鳥や動物が糸に絡まって動けなくなって、そのまま、というのを見かけるときがある。フックが付いたままならなおさら危険である。

 

ビニールの袋など踏んだら滑って危険だし、魚などが誤飲することがある。誤飲があるのはとくにワームだ。バスレイクで釣れるマス類を食べようと捌いたところ、胃袋からワームが出てきた、なんていう話は珍しくない。

 

水辺で、動けなくなる原因になるものや転倒する恐れがあるものを捨てるという事は、人の命すら奪う可能性があるという事を肝に銘じておかなければならない。

 

糸を捨てたことがある人は特にだが、「釣り糸が両足に絡まったまま落水する」という可能性を、一度想像したほうがいい。

 

数でいえば一番捨てられているのは吸い殻だ。水が入っている灰皿に吸い殻が入れられたとき、その水がどんなふうになるかは、吸う人なら知っているだろう。

 

有害物質を含む色々なものが溶け出し、お茶どころではない、コーヒーのような色になる。その水で、魚は生きていけるだろうか。

 

水辺の動物たちも、水を飲む。水がたくさんあるから無限に希釈されるなどというのは、100年前の考え方である。

 

あなたがあの灰皿の中の水を飲むとしたら、何倍に薄めたら飲むにたえるかと考えてみてほしい。私は何倍でも飲みたくない。

 

飲料水に使われるダムや湖で吸い殻をポイ捨てする人は、浄水場を通すとはいえ、その水を他人に(子供に、妊婦に)飲ませているのである。吸う人は、釣りには必ず携帯灰皿を持参してほしい。

これらのゴミは、一人一人が持ち帰れば絶対に釣り場に残されないものである。しかし、実際にはこんなことすらきちんとできていないのが、釣り場の現状だ。

釣り場に釣りのゴミがあれば、当然、近隣の人からすれば「釣り人はゴミを捨てていく」という認識になる。各地で釣りが禁止になることが多いのはなぜか、よく考えてみよう。

 

最低でも会釈。挨拶をする

都会で普段人とすれ違う時に全員にあいさつをする人はいないだろう。しかし、人里離れて、例えば登山をする人ならば、すれ違う人と挨拶をするのが普通である。釣りが、どちらに近いか、考えてみてほしい。

 

釣り場には偏光グラスをかけている人が多い。これが少し、人と人との距離を遠ざける。目の動きが見えないというのは、恐怖があるからだ。

 

だからこそ、ちょっとなれなれしいくらいの態度でいなければ、あなたも怖い人、感じの悪い人になってしまう可能性があるのだ。

コミュニケーションが苦手な人もいるだろう。都会の騒がしさを嫌って、釣りに出かける人もいるだろう。だから絶対に見かけた釣り人全員とお話をしろ、とまでは言えない。

 

でも、すれ違う時に最低限会釈くらいはしておこう。会釈だけでも、会釈が返ってくれば気持ちのいいものである。

ただ、会釈をしても、声をかけても無視されることもある。これは凹むだろう。だからこそ、他人を凹ませないためにも、挨拶はしておくべきだ。

 

上で書いたゴミのポイ捨ても、挨拶を交わした人の前では、しにくいだろうと思う。

話ができれば、釣りの情報が得られたりするし、友達になれたり、釣り場で危険な目にあった時に、お互いに助け合うことにもつながる。

私がいろんな釣りをするのは、釣り場で出会った多様な釣り人と話をして興味を持ったという部分もかなりある。

 

所属する組織の人ではない、趣味の場で出会った友人というのがいれば、普段話せない事が話せたり、虚勢を張らなくてよかったり、ありのままの自分でいられる場が増えるだろう。

また、水辺には釣り人以外の、散歩をしている人、水辺で仕事をする漁師さんなどもいる。こういった人たちとも挨拶をまずかわしておけば、「釣り人」に対する印象は変わるだろう。

 

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交通、近隣住民への配慮

 

まずは駐車のマナーである。駐車する位置は、慎重すぎるくらいに選ばなければならない。バイクでも自転車でも、だ。そこに1台車が停まっているだけで、大渋滞を引き起こすような場所も水辺にはある。

他にも、他人の家の前なら騒音、排気ガスで迷惑になるし、狭い道路の待避所も、危険が迫った時に使えなくなるリスクがある。

 

駐車場があるのに遠いといって、水辺の狭い道に路駐するのは論外だ。

 

こんな基準を設けても仕方ないが、駐車場から遠い釣り場は30分くらいなら歩いて行くという覚悟は持っておいてほしい。

 

山での渓流釣りはともかく、当サイトの釣り対象魚なら、30分歩くだけの距離を探せば駐車に適切な場所はたいてい見つかるだろう。

 

 

続いて、近隣住民への配慮である。仲間と釣りに行って大きな魚が釣れたら嬉しいだろう。それはわかる。

 

だが、そこが住宅街にある釣り場だったら、騒いではいけない。特に夜釣りは要注意だ。住宅街の公園が次々と花火を禁止し、スケボーを禁止し、ボール遊びまで禁止になる現象と似ていると思わないだろうか。

 

そう、近隣住民に迷惑をかけると、そこは釣り禁止にされる、という事を頭に入れておかないと、本当に釣り場がなくなってしまう。

ここまでが、「最低限」といったところだろうか。

 

先行者が優先

このへんからやっと、「釣り」のマナーの話になる。ここまでは、釣り以外の何にでもあてはまるような当たり前のことを書いてきた。

 

オカッパリの釣りというのは、自分が所有する土地の中に水を張ってするのでなければ、基本的に誰かが所有する土地、誰かの管理下にある池、自治体や国が所有する場所で行うものである。

 

そして、釣りという趣味は性質上、「良い場所」に人が集まりやすい。このときに人とバッティングしたときのマナーの話である。

 

大原則は、「先行者優先」だ。先にそこに来た人に、そこで釣りをする権利がある。近くでやりたいのならば、声をかけることだ。

 

声をかけたからと言っても、ある程度の距離感は持っておいた方がいい。延べ竿の釣り同士なら、竿を横に倒しても届かない距離は最低でも欲しい。

 

ルアーフィッシングなら、声をかけて横に入らせてもらわない限り、フルキャストがお互い届かないくらいの距離はとりたいものだ。

投げ釣りなどで、度を越した広さの釣り場の確保を見かけることがある。これもマナーが良いとは言えない。

 

しかし、その人の土地ではないのと同様に、あなたの土地でもないので、基本的には先行者がそうしていれば、その人が優先である。

よく起こるのが、ターゲット魚種が違う場合の、「距離感の違い」からくる「割り込みか否か」という線引きの議論である。

 

ターゲットとする魚種が違うと、当然その釣りスタイルが違う。一か所でじっとしている釣りと、あちこち動き回る釣りがあるし、置き竿をして釣り場を離れる釣りもある。

いくつか例を挙げて考えてみよう。私の考えも記す。

バス釣りをしていて、見えバスがいたインレットに何投かした後ヒットせず、少し寝かせるためにそのポイントから20mほど離れてインレットとは違うカバーを攻め、寝かせたポイントに戻ろうとしたら、ヘラ師がインレットの横に入って釣りを始めた。これはヘラ師の割り込みだろうか?

私は割り込みではないと思う。このヘラ師が釣りを始めたそのとき、バス釣りをしていた人は、明らかに「別の場所」で釣りをしていた。ヘラ師の「距離感」なら声も掛けずにはいっていい距離だ。先行者としての権利はヘラ師に移っている。定位置で釣りをするタイプの釣り師にとっては、「別の場所で釣りをしている人」は、ただの「別の場所で釣りをしている人」なのである。

バス釣りをしていて、鯉釣りの人が、鯉を釣り上げた。鯉師がタモですくって、陸で鈎を外したり、ダンゴをつけ直したりしている間に、鯉師が投げていた場所にバサーがルアーを投げると、鯉師に割り込みだと怒られた。これはバサーの割り込みだろうか?

 

私は割り込みだと思う。魚が釣れて鈎を外したりエサをつけ直したりする作業は、「釣りの最中」だ。先行者は変わらず鯉師である。これはルアー釣り同士でも起こる問題だ。魚が釣れたりリグを組みかえたりしている間に、その人の目の前にルアーを投げたり、前に入ったりするのは割り込みである。準備も撮影も、釣りの最中だ。

ヘラ釣りをしていて、投げる分にはおまつりしないが、魚に走られたら容易におまつりする位置に、あとから来た鯉師がダンゴを投げ込んだ。これは鯉師の割り込みだろうか?

これも私は割り込みだと思う。ただし、順番が逆ならヘラ師が割り込みであると思う。ただ、一言声をかけておけば鯉がかかった時に仕掛けを上げる、などの配慮ができるので、お互いに話し合えば、この距離の釣り自体に問題はないと思う。

バス釣りをしていて、20m離れたところからダムや野池の角張った部分、「コーナー」を攻めている最中に、そのコーナーにヘラ師が入ってきて釣りの準備を始めた。これはヘラ師の割り込みだろうか?

これも私は割り込みだと思う。ヘラ師の距離感では離れているかもしれないが、自分の入ろうとしている位置に向かってルアーを投げていることには気付かなければならない。だが、その位置から逆方向にずっと連続で投げていたのならば、ヘラ師に問題はないと思う。

バサー、ヘラ師、鯉師の3人に登場していただいて4つの例を挙げてみたが、私の考えを見ると(私の考えであるが)ルアーマンは肩身が狭いと感じるだろう。

かくいう私も、半分以上はルアー釣行である。その時の方が肩身は狭いと感じる。それはなぜかと言うと、「動き回ることができるし、動き回る釣りだから」である。

魚を寄せてそこで釣るというスタイルに理解を示さなければ、いつまでたっても「ルアーマンはマナーが悪い」は拭い去れないだろう。

私は釣り場の常連さんとは結構顔なじみである。「今日は何釣るの?」という声のかけ方をされるくらい、いろんなことをしていることも認識されている。

知り合いならば何釣りでもけっこう横で釣りをさせてもらえる。いろんな釣り師に挨拶をして、教えを乞うてみたり、友達(40も歳が離れた「友達」もいる!)になったりした結果として、恵まれた釣り方ができている。この点でも、挨拶は重要だ。

一つ注意だが、このような記述を見て、「あいつはマナー違反だ」と声高に叫ぶのではなく「自分はマナー違反をしてないか?」と考えるようにしてほしい。

 

ゴミを見かけたら拾おう

「何も他人の物まで…」「自分が捨てたんじゃないし」と思われる方もいるだろう。しかし、上で書いてきたように、釣り人のゴミを放置することにはまず安全上の問題がある。

 

さらには動物たちへの影響、水質への影響、景観への影響もある。そして、近所迷惑にとどまらず、農業被害や漁業被害もあり得る。

 

釣り人視点に戻れば、放置した先には、釣り禁止という結末が待っている。他人が捨てたゴミを放置すると、その問題が自分にも降りかかってくるのだ。

 

釣り場に到着して見かけたゴミを全部拾っていたら釣りをする時間がない、というような釣り場もあるかもしれない。私もそこまでやれとは言わない。

 

私自身、全部拾っているわけではない。持ち帰れるもの、危険な位置にあるもの、そして釣りのついでに拾える範囲でやっている。

 

これに関して無理強いはできないが、みんながちょっとずつ他人のゴミも持って帰れば、釣り場は徐々にきれいになっていくはずだ。

 

零細の当サイトの片隅にある、こんな小話を、ここまで読んでくれた熱心な諸兄には、これを少しでいいからお願いしたいところだ。

 

釣りに小さなゴミ袋を持って行って、自分のゴミでは袋がいっぱいにならない時に、ちょっと周りのゴミを拾うだけでいいのでご協力願いたい。

 

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他魚種の釣り人への敬意を持つ

この辺からやっと小話っぽくなってくる。

 

当サイトを気に入ってくれている、という人は大丈夫だと思う。だが、釣りをする人のなかには、無意識に自分のターゲット外の魚を釣っている人、釣法の違う人を見下している人が結構いる。

それ故に、自分ルールを押し付け合って起きるトラブルも少なくない。私のように気が弱ければ、そこで泣き寝入りすることになる。

各魚種の釣りページで釣りものの歴史なんかを少し書いているが、その歴史が長いとか浅いとか、若い人が多いとか年寄りが多いとか…ステレオタイプ、くだらないことで見下し合っているパターンもある。

こんなことは、野球とサッカーはどちらが上かなどと馬鹿げたことを議論し、野球は手を使うからセコくてサッカーは足を使うからエライとか言っているのと変わらないのである。

趣味やスポーツの世界で他種目への尊敬を忘れるべきではない。それぞれに深みがあり、それぞれにこだわりがあり、多数の趣味をこなす人もいる、一つを追求する人もいるのである。

どうか、他魚種の釣りへの偏見を捨て、できればやってみてほしい。自分のしないことをやっている人を尊敬し、教えを乞うてみるとなお良いと思う。

それが、水辺での相互理解につながり、きっとトラブル解消にも役立つことだろう。

 

外道も掛けたらとる

私は何度も見たことがある。鯉が釣れて、竿や仕掛けが傷むと言ってわざと糸を切るヘラ師や、ナマズやライギョが釣れて、気持ち悪いといって、釣り上げておいてフックを外さずハサミで糸を切るバサーを。

 

悲しいことだが、実際にいるのである。

無論、特定外来生物のリリース禁止の条例があれば従わなければならない(条例の是非はここでは論じない)。

 

そして、そうでないところでも、釣りをする以上、デッドリリースになってしまうこともあるだろう。リリース時は元気でも、ひっそりと息絶える魚がいることも承知だ。

だが、「道具が傷む」、「気持ち悪い」は、そういう事とは性質が違う。

これはもう私の感覚なのでマナーとは違うのかもしれないが、そういう人は自然のフィールドには行かないで、それしかいない管理池なんかに行けばいい。それしか釣れないのだから、そのほうが嬉しいだろう。

こんな嫌味を言うのは、色々な物事(敢えて何を指すのかは言わない)に興味を持ってほしいからだ。

とはいえ、自分に危険が及ぶカミツキガメやワニなんかが釣れれば、私も躊躇するかもしれない。

 

それでもフックを外す努力くらいはする。魚に鈎を掛ける遊びをする以上は、せめてそうあってほしい。

 

釣りのマナーに関する話は以上だ。どうか、頭の片隅に置いておいてほしい。

 

 

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