前のページでは、スモラバ、ノーシンカー、アンダーショット(ツネキチ、ダウンショットとも言う)、ネコリグ、ジカリグで使うワームをそれぞれ紹介し、それが私の考える良く釣れる方法、セコ釣りであると述べてきた。
実際、私の行うバス釣りはほとんどこれに超基本的なアクションを加えるだけの釣りである。
世の中にあふれるバス釣り情報には本当に難しいことが書いてある。だが、基礎的なワームの動かし方と動き(こう書くのは、意図とアクションが一致していない可能性があるからだ)を分かっておく必要がある。
バス釣り技術に関する小難しい議論は、型を覚えてからでないと参加することすらままならない。
私がこれでも釣れると言っている以上、各リグでどのようにワームを操ればいいのかという基礎の基礎のところは初心者に向けてはきちんと紹介しておかなければならないだろう。
上手い人からいろいろ言われたけどわからなかった、上手い人に教えてもらったけどなかなか釣れない、そういうことはよく発生する。何故かと言うと、その人が上手いがゆえに教えるべき部分を見落としがちなのだ。
例えば、まず1匹釣らないと話にならない段階の人に、ルアーがダートする距離を調整する方法を教えても大した意味はないだろう。信じられないかもしれないが、バスの世界では教える人も教えてもらう人も無自覚なままに結構そういうことが起きているのだ。雑誌やバスプロの番組を超・初心者が見て学ぼうというような場面もこれに相当することがある
これはハードルアーでもそうなのだが、1キャスト分を巻いてくるのに幾つものアクションを加える必要は無く、一定の動きをさせ続ける中で、ルアーに特殊なアクションを加えるのは1回もしくは多くて2回くらいが妥当である。アクションのバリエーションが少ない初心者が中級者より釣ってしまうことがあるのは、技を持っているがゆえにそれを出しすぎて見切られているという側面があるからだろう。
ブラックバスが釣れない人は、こだわりの薄い、数を釣るのが目的のセコイ人に教わると、案外いい結果が出るかもしれないぞ、とここで提案しておく。
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目次
スモラバ
トップバッターは、小さなラバージグ→スモールラバージグ、略してスモラバだ。ジグヘッドにラバーのスカートを巻きつけたものがラバージグだ。
ワームの釣りの中でもジグヘッドの釣りは難しいほうに分類されると私は思っているが、スモラバはもはや別物だ。
その最高の魅力は、スイムでラバーがワームに張りつき、着底と同時にパッと「花開く」アクションだ。
当然、実釣ではこれを活かしたアクションが主流になる。下の図を見てほしい。
スモラバで使う主なアクションは3通りだ。
図の右側、フォールは投げて着底させるだけだが、着底前に糸ふけをとればカーブフォール、糸ふけをとらなければ(水深がある場合リールのベールを上げたままにすると)、フリーフォールだ。
スモラバでは、着底で食うこと、そして底にあるスモラバにテンションを掛けた瞬間が多い。なので、投げて底をとり、引き上げるだけの、フォールオンリーの釣りも余裕で成立する。
次のボトムバンピングは、着底からラバーのスカートが開いたら、ゆっくり(超ゆっくりでいい)巻きながらロッドをひょいひょいと立てたり寝かしたりして「トン、トン」と底を叩いて巻いてくるアクション。
ラバーのスカートが開く「間」、トレーラーが泳ぐ「間」を作ってやるといい動きになる。足元の見えるところで練習し、使用するスモラバの「間」をつかもう。
3つ目はシェイクだ。これは糸を巻かず、ロッドをチョコチョコ動かして小刻みに振動させる。ラバーがバサバサと動いて、スモラバではこれがとても強いアピールのアクションになる。
釣りの組み立てとしては、フォール→着底後数秒待ち→シェイク→ボトムバンピングと引いてくるのが基本だろう。足元が深いなら足元でもシェイクを入れてみるといい。
ちなみに、カバーでひたすらシェイクするとよくライギョが釣れるので気をつけよう。(逆にライギョ狙う時なら有効だ)
このほかには、緩やかな流れのある場所では「ボトム放置」でも釣れることがある。それだけ、このリグは強力なのだ。
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ノーシンカー
ノーシンカーは、その名の通りオモリをつけないで、フックを直結してワームを刺すだけのリグである。
昔は、「まず一匹釣りたいならスプリットショット」だったのだが、最近は塩入りの高比重ワームが多くそろっていて、ある程度の遠投もきくようになったので、その地位を奪いつつある。いや、もう奪ってしまったと言っていいだろう。
使えるワームの種類も多彩で、ワームの動き(特にフォール)が最も自然なリグだろう。ブラックバスの1匹目は、ノーシンカーで釣るべし!
ノーシンカーは実に多彩な釣りだ。シンカーを使った他のリグは、基本的にこれを遠くに飛ばしたり、ワームの向きを調整したりするだけであると言っても過言ではない。(もちろんそれだけではないのだが、ノーシンカーの素晴らしさを伝えるために熱くなってしまった)
まず、泳ぐ系のワームを使うなら、ただ巻きが非常に有効だ。巻く速さやロッドの角度で色んなタナを探ることもできる。難しく考えず、グラブをただ巻きすると本当に良く釣れる。
初めての1匹が欲しい人や「バス釣れない病」になった人はここに戻ってくると良い。ちなみにナマズもよく釣れる。
ここで紹介するアクションは、ほとんどどんな形状のワームでも使える。ここで図示したものは一例に過ぎないと思ってほしい。
ズル引きは、ただ巻きに近い感覚だが、着底を待って、底を引っ張る。速度を変えたりロッドであおってもいい。
ゲーリーヤマモトのイモを使ったズル引きは、はじめは「こんなので釣れるわけないだろ」と思うのだが、人間にはわからない魅力的な要素があるようだ。
正直これで釣れるのには私も面食らった。もちろんズル引きは他のワームでもよく釣れるアクションだし、イモはズル引きだけのワームではない。(これもナマズがよく釣れる。)
リフト&フォールはルアーフィッシングだけでなく、エサ釣りの世界でもよく使われる、「誘い」の基本といってもいいだろう。
幅は様々やってみればいいが、スモラバのボトムバンピングよりは大きく上げ下げする。
食うのは、着底の瞬間、そしてフォール中が多い。私の感覚では、フォール時は糸をたるませるとヒット率が劇的に増す。ライギョがよく釣れる。
ジャークはこの図ではよくわからないかもしれない、と自分で図を書いて思ってしまった。
ロッドを素早くあおって、まるでワームが瞬間移動したかのように動かす方法だ。素早く引っ張られたワームは糸のテンションが無くなった瞬間に不規則にダートする。
逃げ惑うベイトを演出するのだ。見えバスの目の前で決めて、うまく食わせるとその感動はたまらない物があるだろう。
寄ってくるだけで食わないバスに有効なアクションだ。連発している人がたまにいるが、ワームでは時々でいいのではないだろうか。
放置は、その名の通りなのだが、特に流れの巻いているところや流れ込みの滝つぼのようなところでやるとボンボン釣れるパターンがある。(根掛かりが多いのがちょっとネック)
止水での放置でも稀に釣れる時がある(寒いときに多い)。見えバスがうろうろしているなら、通りそうなところに放置して、近づいてきた瞬間にジャーク、というのが「待ちの釣り」で面白い。
ニオイ付きワームだとナマズがよく釣れる。
中層シェイクは、ロッドを小さくしゃくりながら巻く感じだといえば伝わるだろうか。浮いているバスに適した釣り方だが、ライギョがよく釣れるのが怖い方法でもある。(これもまた、ライギョを狙うなら有効だ)
もちろん1投の中でこれらのアクションを複数入れてもいい。釣りの組み立て方は想像力次第だ。バスは基本的には上を見ているので、タナは表層から探っていくというのが効率が良いだろう。
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アンダーショット(ダウンショット・ツネキチ)
アンダーショットリグは、日本では「ダウンショット」と呼ぶ人が多い。その昔、流行り過ぎてセコイと言われたリグである。それだけ釣れる方法だ。
日本では、といったが、もとは日本生まれのリグである。出始めのころは常吉と書いてツネキチと呼ばれていた。
シンカーをフックより下に配置する、異色のリグである。枝糸のない胴突仕掛けのようなリグだ。異色故に、ワームも異色のアクションが可能だ。セコ釣りをしたいなら、これを体得しない手はない!
何度でもいうが、アンダーショットリグはシンカーがフックより下についている。ワームより比重が大きく沈降が速い物がワームより先にあるのである。
これが何を意味するかというと、ワームを中層の1点で止めることができる!そしてもう一つは、中層でテンションを緩めた後に、最初に張る(テンションが生まれる)のはフックとシンカーの間の糸であるから、ワームを「向こうに引っ張らせる」ことができるのだ!
こんな特色があるのだから、この2点を意識したアクションが中心となるのは当然のことだ。
まずは1点シェイクである。これはシンカーの着底を待って、シンカーを動かさないようにラインを張ったり緩めたりする方法だ。
ワッキーでやるとまるでドバミミズがブルンブルン暴れているみたいな動きをする。ミミズを食っているバスなら、イチコロである。
ちなみにこれもライギョがよく釣れる。
これはこの「セコ釣り」のさらに「裏ワザ」だが、説明では「糸を張ったり緩めたり」と書いたのだが、「糸はずっとたるんでいて、そのたるみ具合を変化させる」という意識でシェイクすると、釣果が数段増す。
これはなぜかというと、糸が張る瞬間というのはギターの弦をはじいたように振動して音が出ること、そして自然界の生きものは「直線」を見慣れていないために糸が張った直線に対して警戒心が増すからだ、と私は勝手に思っている。
中層シェイクでも、ワームが異色の動きをする。糸を引っ張って上を向いたワームが、テンションを緩めた瞬間フリーになり、そのすぐ後に下に向かってUターンする。
これがほかのリグでは不可能な、艶めかしい動きなのだ。見えるところでそのワームの動きを見てみると笑えるほど生きものっぽい。もちろんワッキーでも使える。
そしてこれにも裏ワザというほどではないがコツがある。中層シェイク狙いのアンダーショットでは、シンカーをかなり軽めにしよう。
これは1点シェイクのときと似た理由だが、ラインが張った瞬間の異音を消す効果があると私は勝手に思っている。やはりこれだけで釣果が数段違う。
ここでは2種類だけを書いたが、ノーシンカーで紹介した他のアクションなんかも取り入れることは可能である。
ネコリグ
ネコリグ?猫とは何だ?と思う人もいるかもしれない。ネコリグとは「根こそぎ釣れちゃうリグ(だったか、正確には覚えていない)」の略称である。
これもまたその昔、人気が出過ぎてセコイと言われたセコ釣りの代表格である。ストレート系のワームの一端にネイルシンカーを入れ、ワッキー刺しにするリグだ。
つまり仕掛け自体はノーシンカーワッキ―で、そのワームの1端が重い、というイメージだ。
ネコリグは、基本的には底の釣りで使う。
シンカーが入っているためフォール時はワームが縦方向になり、ラインがたるむとフックの重さとワームの自重でゆっくり横たわる。テンションを加えると立ち上がり、くねくねと動く。
操作は、ノーシンカーで紹介したズル引きとも、スモラバで紹介したボトムバンピングとも言えるような微妙な引き方をする。
操作としては、微かにロッドをあおりながらズル引きするといい感じに動く。
そうすると、底をついばむ何かが現れるのだ。それまでそっぽを向いていたバスが狂ったように食いついてくることもある、魔法のリグである。
ズル引きでもフックがボトムより上に来るため、底の釣りとしては根掛かりも少ない。
泳がせても使えるらしいが、私はやったことがないので、そういうことは書かないようにしている。
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ジカリグ
ジカリグ?なんだそれは?という人ももしかしたらいるかもしれない。・・・これはもう私は由来を知らない。
2015年春、私は釣り場に捨てられていた、ある仕掛けに興味を持った。見たことのない仕掛けだったのだ。ワームフックにスプリットリング、そのリングにサルカン、そして細長いシンカーがついている、不思議なものだった。(前ページにて写真を紹介している。)
家に帰って調べてみるとジカリグという韓国のバスシーンで生まれた新しいリグらしい。使い方もわからないが、ちょっとやってみよう、とガルプホッグを刺して使ってみたところ、艶めかしい動き方をするではないか。
「これはセコイ」
と意味不明な方向性で漲るものを感じた。それ以来、多くのバスを釣り上げてきた、私の戦力のひとつである。
図は丁寧に書いたつもりだが、フォール時、上下動時のワームの向きが特徴的である。ズル引きしてもゆらゆらと動く。
これは、底の釣りで使うべきだ。
とはいえ、ネコリグを使う時よりも、ズル引き、ボトムバンピングを明確に分けて操作したほうが良い。
シンカーがスプリットリングでフリーなため、上下動に対してはアンダーショット的な動きをするし、ズル引きではテキサスリグのような動きをする。フォールが垂直なのもテキサス風。なかなか優れたリグである。
リグの作り方は、スプリットリングにサルカン、シンカー、フックの順に取り付けるだけだ。フックの向きに気をつけよう。サルカンを持った時に、フックがシンカーに背を向けるように取り付ける。
このページの総括
私は釣りという趣味において、技術的なことを議論するのはあまり好きではない。個人の感性の部分が多くを占め、煮詰めた結果として正確な理論が出来上がらないからだ。
例えばこのページでは、「どのワームが何を模すのか」についてほとんど言及していない。それは魚に聞かなければわからないことなのだ。
しかしここでは、私が使うワームのリグ、その使い方については最低限と思われる事を、ブラックバス釣りを始める人の視点に立って書かせていただいた。
当サイトは「手軽な釣り方」を紹介する目的で作られたからである。
ここで書いた方法は、どれも手軽で良く釣れる方法だと思う。
しかしである。数回釣りに行ってノーフィッシュ(ボウズ)くらいのことは日常茶飯事だ。何釣りにしても、ボウズは逃れられない時がある。
ブラックバス釣りは、釣れるようになってからのサイズアップよりも「狙った通りのパターンの最初の1匹」を釣るまでの過程が難しい釣りだと私は思う。
多少釣れるようになってからも、スランプが来ると何かにとりつかれたように釣れなくなる時もある。
どうかくじけないで、美しい水辺に佇む楽しみを忘れずに釣りをしてほしい。
さて、「ブラックバス実釣」ではセコ釣りで釣れたバスたちを写真で紹介していこう。