Thrilling Tsurilling

大きな魚を手軽に釣ろう

釣り人生初のメートル超!ソウギョ釣行2018

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これは2018年4月某日午後、茨城県某所、アメリカナマズを釣りに、霞ケ浦へ流入する河川の、さらにその支流というかなりの小場所に行った時のことである。

 

アメリカナマズをいつものようにいつもの方法で釣っていると、何やら大きな鯉(のようなもの)が頻繁にライズするのである。見る限り、90cmはあるだろうという大きな鯉(のようなもの)が。

 

「あの鯉を、パンで釣ってやろう」そう思った私は、早速車に戻ってコンビニに向かった。食パンを仕入れるためだ。ここにはアメリカナマズを釣りに来ていたので、エサとしての食パンは用意していなかったのだ。

 

なぜそこまでして、遠征でしか釣れないアメナマから、鯉と思しきものにターゲットを変えたのか。

 

私がそれまでに釣った人生最大の魚は、87㎝だ。鯉である。「大きな魚を釣ろう」とサブタイトルに掲げてサイトを管理している割には、大したことがないのであった。いや、それでもやっぱり87㎝の鯉は馬鹿みたいにでっかかった。それを思い出してみても、釣り場でライズするアイツを釣り上げれば、最大サイズが更新できそうだと思ったのである。やはりそれは私にとって魅力的な事だったのだ。

 

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目次

手始めにパンを撒く

まずはパンを撒く。これは自宅付近でやっている通りの鯉の寄せ方だ。パンを浮かべてたくさん撒き、流れるそのパンについていきながら、沈むように握ったパンをどんどん投げ込む。パンプカ釣りの方法については専用のページがあるので参照されたい。

 

パンプカ釣りの要点へ

 

これをやった後、そのパンの様子を見ながら仕掛けを組んだ。

 

組んだ仕掛け(1日目)

様子を見ていたが、どうやらここの鯉は、ライズをしていても浮いたパンには反応していない。ライズというより、浅すぎてヒレが出ているだけという感じである。なので、回遊ルートを読んでパンを沈める作戦に出る。私はまずこんな仕掛けを組んだ。タル付を使った私流のアメナマ式であるが、大物用(あくまで90㎝くらいと見積もっての話である)のタックルだ。

 

竿→シーバスロッド8フィートのミディアム

リール→スピニング2500番

道糸→高比重PE1.2号(18.7lb)

リーダー→フロロ4号(16lb)1.5m

 

このリーダーの先に2号オモリのタル付→鯉鈎14号(ハリス4号45㎝付)を結んだ。PEを使っている事以外はアメリカナマズ釣りとほぼ同じ仕掛けなので、これで理解できなかった方はそちらを参照してほしい(ただし後述するが、今回の釣行ではこの方法は失敗する)。

 

アメリカナマズ釣りへ

 

PEラインとリーダーの結束は安心と信頼のノーネームノットである。結び方はそれ用のページを設けているので、これまた参照されたい。

 

釣糸の結び方へ

 

仕掛けを投入

沈めるパンを一番多く投げた、回遊ルートと思しきあたりに鈎を包むように丸めて握ったパンを投入した。あとはヤツが食うのを待つだけである。時刻は16時前。ただひたすらに、じっくりと待つ。

 

30分に1度ほど、食パン1枚をちぎっては投げ、ちぎっては投げる。すべて水に沈むように握ってからだ。結構疲れる作業である。

 

実はこの時、私はもう既に何度も鯉釣りで失敗して痛い目に遭っている「あること」をしてしまっているのであった。それに気が付くことなく、釣りを進めてしまう。この「あること」は直後に明らかになる。

 

アタリが来るも・・・

18時前、陽も傾いてきてそろそろ終わり&チャンスタイム!だと思っていると、一瞬、リールのドラグが「チリリ」と鳴った。・・・だが、これでアタリは終わってしまった。その直後、あの90センチくらいに見える鯉みたいなやつが近くでライズした。そう、あいつがパンをいったん食って、ポンと吐いたのだろう。

 

吐き出してしまって鈎掛かりをしなかった。これは上述の「あること」のせいだ。「あること」とは、「オモリをつけていること」なのである。フナでもそうだがコイ科の魚は、いったん食ったエサに違和感があるとすぐにポンと吐き出してしまう。しかも、この仕掛けだとこちらがアタリに気が付くのは、エサではなくオモリが引っ張られた時だ。つまり、向こうがオモリに気付いて吐き出す瞬間なのだ。ウキ釣りのようにシビアなアワセは出来ようもない。これではよほど運よくフッキングしなければ釣れない。(ただし、ハリスがよほど長ければ、深く飲ませてかけることもできるだろう)

 

私は鯉のこれを、この行動を、自宅近くのきれいな水の釣り場で何十回、何百回も見てきたのである。オモリがなければ食ったまま突っ走って鈎掛かりすることも、既知だったのである。やってしまった。遠征だから、アウェイの釣りだからといっても、自分に既に身に着いている知恵も発揮できないでは大物など釣れるわけがない。この時は、自分の愚かさを呪った。

 

「明日のために」

18時を過ぎ、陽も沈んで暗くなってきた。ここで私は翌日のリベンジを決意、納竿する。しかしこれで今日やることは終わりではない。まだやることがある。それは、ありったけのパンを撒いておくことだった。

 

何故そんなことをするかというと、浮きパンを食わなかったことからもわかるように、この近辺の鯉はパンの味を知らない様子だ。パンをあちこちに沈めておけば、底を啄ばむ鯉たちは人のいなくなった夜中に必ずそれを食う。それが大量にあれば、どんどん食う。しかも、「ここにある」と覚える。「これはうまいものだ」「ここにある」と覚えさせておくことで、翌日以降にパンでの釣果が必ず増すのである。翌日に使うエサを撒いておくのは、今回のような支流の小場所ならではの方法であるが、かなり有効なやり方である。

 

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2日目も午後から釣り開始

午前中に用事を済ませた私は、前日と同じ釣り場に向かった。ついたのは13時ごろだ。昨日は後悔でよく眠れなかった。「遠投する要素もないのに、何故タル付など使ったのか。パンの重みだけでPEなら軽く投げられる距離ではないか」と。

 

当然私は、仕掛けを組み替えた。今度はショックリーダーにバス釣りのワッキー用のワームフックをダブルクリンチノットで直結したのだ。それ以外はすべて前日と同じセッティングである。何度も言うが、こんなナメたタックルで挑んでいるのは、相手が「90㎝ちょいくらいの鯉」だと思っているからである。最初から正体を知っていれば糸はすくなくとも25lbまでは上げたであろう。

 

さて、仕掛けを組んだところで、あの鯉(みたいなやつ)が今日もライズしていることを確認。よし。まずは足場付近から扇形にパンを撒いていく。その真ん中、回遊ルートと思われる場所に、ワームフックを包んで握ったパンだけがついた仕掛けを投入。座して待つ。

 

すぐにアタリ

仕掛けを投入して20分くらいだろうか。リールのドラグが「ジー」と鳴り、「ドボォッ」といってヤツの巨体が水面に見えた。やった!ライズしていたあの巨大なヤツが、かかったのである!足元から10mくらいの位置だったが、ドラグを鳴らしてずーっと向こうまで突っ走って行ってしまった。とんでもない重さだ!

 

ファイト開始!

20mほど糸を出されたところで、指でスプールを止めたりしてファイトを開始した。相手の向きに合わせて少しずつドラグを締めたり緩めたり、時には指で調整しながら寄せにかかる。

 

近づいてきては走られ、また寄せてきては走られる。こんなことを繰り返した。これは、もしかして思ったよりもでかいのではないか?と感じ始めたのはファイト開始5分ごろだっただろう。普通、5分も魚とファイトすれば長いほうだ。ドラグを利かせていても、勢いよく走られた時には「切られるのではないか」と思う猛烈な引きだった。

 

姿が見える「これはソウギョだ」

ファイトを開始して10分くらいだろうか。何とか足元まで寄ってきた。顔がどう見ても鯉ではない。見慣れない魚だ。顔がなんだか、ボラみたいなのである。ああ、こいつは間違いない、ソウギョというものだ。

 

私は枠の直径が60㎝あるタモ網をつかみ、柄を伸ばした。この時また走られてしまったが、相手も疲れてきたのか、すぐに寄ってくるようになった。わずか10分で、こちらももうかなり疲れている。

 

さて、また寄せてきたところで最初のタモ入れトライである。どう見ても網に入りそうにない。魚はタモの枠の倍ぐらいある。私のサイズの見積もりが甘かったことがここで分かった。間違いなくメーターオーバーだ。頭を突っ込ませるようにタモをスッと水に入れた瞬間、ソウギョは勢いよく反転!さっきのバテてきたのかと思わせる感じだったのがウソのようにまた20mくらい突っ走ってしまった。あんなの上げられるのか・・・?

 

網を見ると復活する

このようにして、明らかにバテてるのに網を見せると突っ走ってしまう、という繰り返しを5度か6度ほどした。この時点で、もうファイト時間は30分を超えていただろう。こちらも疲れてはいるが写真を撮る余裕が出てきた。というよりは、絶対上げるという自信がなくなりつつあったので、大物とのファイトの証拠だけでも欲しかったというのが本音だ。

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ついにタモ入れの時が来る

上の写真を撮った後、何度目だかわからないタモ入れトライをした。相手のバテ具合からして、そろそろ決着がついてもいいころだ。良い具合に自分の足元を横切りそうなタイミングで頭をタモに入れる!なんと丸まって全身が入った

 

その瞬間である。ソウギョは激しく暴れ、なんとタモ網を一点突破で穴をあけて再び走って行ってしまった。

 

こうなるとファイトは絶望的になる。正直、もう私の負けだと思った。なぜなら、タモを突き破ったという事は、ソウギョは一回タモの枠の輪を通っているから、タモの枠の輪を道糸が貫通した状態でのファイト&タモ入れを強いられるからである。枠のジョイント部分に道糸が引っかかったりすれば一瞬で糸が切れてアウトである。あの瞬間に切れなかっただけでも幸運だったのだ。

 

しかしソウギョも力尽きてきたか、あまり激しく動かなくなってきたので私はファイトをしながらあることを実行する。それは、「ソウギョがあけたタモ網の穴にロッドを突っ込んで通し、タモ貫通状態を脱する」という行為だった。

 

幸運にも作業中にソウギョが突っ走ることはなく、無事戦いは振出しに戻った。起死回生にも思えるが、振出しに戻っただけである。しかもこちらはタモを損傷している。メーター級のソウギョが突破するほどの穴があいたタモで、金魚すくいみたいに穴の開いていない部分だけでコイツを掬わなければならない。そんなことできるのだろうか・・・?もう詰んでいやしないか?という気持ちが頭をよぎっていた。

 

ファイトしながらタモ網に応急処置

もうファイトは1時間以上になっていた。私は網にあいた穴を見つめ、どうすればあそこを通さずにソウギョが上げられるのか考えていた。

 

しかし、ファイトも長引いてだんだん頭が冷えてきた私は次第に発想が転換し、「タモの穴を塞ぐ方法」を考え始めるようになった。冷静な今なら、すぐに想い浮かんだであろうこの方向。何を使おう?靴ヒモで塞ぐか!しかし靴ヒモをファイトしながらほどく余裕はさすがにない。ここで私はふと思い出した。「今日、ミミズ箱を持ってきている」と。

 

私が持ち運ぶ釣り用ミミズ箱には、勝手に開いてしまわないようにマジックテープのバンドをしてあるのだ。あのバンドを枠と穴に巻きつければ穴が防げる!この黄色いやつ!

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この作業は片手で難なく進んだ。処置前より網が強くなったんじゃないかという気さえした(まぁ気のせいである)。そしてもうソウギョはほとんど走らなくなった。勝負を決める時が近づいていたのだ。

 

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応急処置をした網で、タモ入れリトライ!

もう時刻は15時になっていた。ファイト時間は90分くらいだ。ソウギョもヨレヨレと走るのみだ(それでもドラグを鳴らされまくる)。ソウギョが正面から頭をこちらに向けて寄ってきたその時、タモを水中に入れ、ソウギョの頭をとらえた!ソウギョはもう暴れる元気もないようだ。体が半分近く網から飛び出している。その状態でも、持ち上げるしかない。私は竿を手放し、両手でタモの枠をつかんだ。ここで暴れられたら竿ごと持って行かれるかもしれない。でも、やるしかなかった。オリャ!

 

円形のタモ網の枠が、「メキメキ、ビキビキ」と音を立ててひん曲がった。縦に伸びて、楕円形になった。ジョイント部分が折れたら終わりだっただろう。ソウギョは何とか持ち上がった。そして自分の後ろの草むらに下ろすことに成功した!この勝負、私の勝ちだ!

 

測長と撮影

私は腰が抜けてしまって、10秒ほどへたり込んだ。上がってきた化け物にメジャーを当てる。え?足り・・・足りた。これだ。

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尾の先は111㎝までしか届いていないが、鼻の部分が少し測れていないので、113cmといったところだ。まぁ公式記録にしたりするものではないのでこの際その辺の誤差は読者諸兄がどう受け取ってもらっても構わない。ひとまず、思ったより大きかった。ファイト中に思ったよりデカい1メートルちょいだと思っていたのに、110㎝オーバーとは。次に、抱えてデジカメのタイマー機能を使っての記念撮影であるが、重すぎてまともに持ち上がらない。それ故に、まともな写真も結局撮れていない。

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腰を抜かすワケがわかるだろう。90分も、こんな化け物と戦ったのだ。私は「ありがとう」といってソウギョをドボンと川に放ち、放心気味で釣り道具を片づけた。時刻は15時過ぎだが、もうこれを釣った後に釣り続行などありえなかった。

 

タモの悲惨な姿

これが、ソウギョの突破した穴(こうやって見ると本当にここを通ったのかと思うほど小さな穴だ)と、持ち上げたときに歪んだ枠(もともとは円だった)である。

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こんなことになっては、これから釣りができないので新しい網と枠を買うことになる。これまで数々の大物を掬い上げてきた相棒だったが、こいつは引退である。

 

おわり

自己記録更新だ。それも、87㎝から一足飛びに26㎝も更新した。とんでもない物を釣ってしまった。何を言っていいのか分からない。もう私のような釣りスタイルであれば淡水では一生出会わないサイズだと言っていいだろう。そうするとこれからは一生、何を釣っても、「でも、あのソウギョには敵わんな」と思いながら釣りをすることになるのだろうか。それは、果たして幸せなのだろうか。この釣行日以来、何ともいえない切なさをずっと胸に抱えている。

 

この話はこれで終わりである。上げられたから良かったものの、霞ケ浦水系ではナメたタックルで鯉釣りなどしてはいけないという教訓を得たとともに、網に関してはいったいこれ以上どうしろというのだ、と思った。専門で怪魚をやっているわけでもなし、お店を覗けば海用のコーナーにまだ大きい物があるにはあるが、そんなものを持ち歩いても一生使わないかもしれない。

 

とにもかくにも、このトラブル満載のファイトは真実である。心底、小説よりも奇なり、だなと思った。本当に疲れた。前日は後悔で眠れなかったのに、当日は興奮して眠れなかった。私はこの件でだいぶ寿命が縮んだのではないかと思う。

 

 

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