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大きな魚を手軽に釣ろう

フトミミズ園芸

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「α型」飼育廃土と「β型」飼育排水の利用

 

当サイトは釣りのサイトだ。当サイトには、フトミミズの釣り利用を目指した、「養殖と長期保存」を目指すフトミミズ飼育コーナーが存在する。その派生としてこのページが生まれたという事は忘れないでおいて欲しい。私が園芸にあまり明るくないのは、そういう理由だからである。勉強を怠るつもりはないが、片手間であることは拭い去れない事実であるから、はじめにそれを告知しておく。

 

フトミミズ飼育へ

 

これまでのフトミミズ飼育実験において、「ニセペーパースラッジ」と勝手に名付けた飼育床土を改良して試行錯誤を繰り返すうちに、ミミズの長期保存に適した「NPS2.0-F」なる画期的(自称)な飼育床土を開発してきた。(当サイトオリジナルだ。作り方はミミズ箱1号αのページを参照されたい)

 

ミミズ箱1号αへ

 

この床土を使って、小型容器においては二通りのフトミミズ飼育方法が私の中で定着してきた。以下のような方法である(この呼び方も当サイトの固有の呼び方である)。

 

空気穴を天井に設ける以外は基本的に密閉系で飼育し、2週間ないし4週間程度で飼育床土を交換することで清潔を保ち、ミミズを長生きさせる。(α型飼育

 

天井に給水穴を、底に排水穴を設けて1週間程度の間隔で水を流して循環させて容器内の水分の清潔を保ち、ミミズを長生きさせる。(β型飼育

 

ミミズが住んだ土に残留している物質はミミズにとっては排泄物だ。「ミミズの住む土は良い土である」という言説は多くある。園芸や農業の観点から見れば確かにそうなのだろうが、それは植物およびそれを育てる人間にとっての話である。その土が「ミミズにとって良い土かどうか」は別問題なのだ。だからこれを取り除いてやることでミミズは長生きする。魚を飼う時に、水槽の「(魚にとって)汚れた」水を換えるのと同じである。

 

さて、上記の事は言い換えると、ミミズが住んで汚れた土や、それを洗浄した排水は植物にとって有用である可能性があると言えそうだ。そこで、これまで単に捨てていた廃土、排水を、ちょっと実験に使ってみる事にしよう、というのがこのコーナーのストーリーである。

 

 

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目次

 

ミミズが土壌に与える影響

そもそもミミズが住む土が園芸や農業にとって良いモノであると言われる根拠はいくつかある。列挙してみると、

 

①ミミズの糞や分泌物(巣穴を固める液体)そのものが良質な肥料である

②ミミズが巣穴を掘る事で土壌が撹拌され、且つ、土中に通気性が生まれる

③ミミズの糞塊の「団粒構造」が、植物にとって良質な構造である

④ミミズそのものが死後、分解されて良質な肥料分となる

 

などである。よくミミズについて調べるとフトミミズに関する情報とシマミミズに関する情報が混同されているのを見かけるのだが、ここで列挙した効果の多くはフトミミズでしか期待できない物だと思われる。

 

シマミミズとフトミミズ

例えば釣りエサに使うだけなら、大きさが違うくらいにしか見えないだろう。しかしこいつらを同じミミズだと思ってはいけない。それぞれ利用方法はあるが、生態も、効果的な利用法も全く異なるフトミミズとシマミミズに関する情報を混同し、都合の良いモノを継ぎ接ぎしてミミズ全般についての情報だと信じていると、コンポストも菜園も園芸も繁殖も、何もかも失敗する可能性が高いので気をつけよう。

 

シマミミズは容易に繁殖して増え、生ごみ等の処分、堆肥化には向いているが、土壌の改良はできないだろう。未発酵の植物でも食べてしまうのでそもそも植物の根をやられる可能性があるし、巣穴を掘らないし、土の巣穴に暮らす習性がないので巣穴を固めるための分泌物も出さない。

 

フトミミズは生ごみを食べてくれず、腐植ばかりを食べるので生ごみ処理は出来ない。巣穴を掘って暮らすのでシマミミズのように高密度で生息できないし、数週間でネズミ算式に繁殖もしない。しかし、上で列挙したような働きで土壌改良に役立つのである。

 

「腐る」を良い、悪いの二元論で見てはいけない

この「フトミミズが腐植を好んで食べる」というのを曲解して、フトミミズが住んでいる土が「腐っている」から「悪い」などという論が展開されている場もあるようだ。これは単純すぎる善悪二元論に陥った人の、見当違いも甚だしい暴論である。私は園芸は素人だが、これが暴論だという事はすぐにわかる。

 

そもそも植物が吸収できる肥料というのは、動物や植物由来の窒素、リンや金属イオンを含む、多糖類やたんぱく質などの有機物が「(フトミミズを含む)分解者、微生物によって分解されてできた、低分子化された有機物や、ミネラルのリン酸塩や硝酸塩など」である。

 

ここで述べた「微生物によって分解」というのは「腐った」事を意味する。「発酵した」という言い方も、ほぼ同じである。「土」というのは、単なる無機の砂粒の事を指すのではない。砂粒が堆積していればそれは「砂」だ。砂粒に、微生物に分解された「生物活動の痕跡が腐ったモノ」が混ざって「土」なのである。そうでなければ、土でなければ、植物の肥料たりえない。腐ることによって、植物が吸収できるカタチになるのだ。腐ってこそ、土は豊かなのである。

 

園芸にとって良い腐り方、悪い腐り方があるのは確かだろうが、「腐っているイコール悪い」などと言う善悪二元論で片付く話でない事だけ、頭に入れておこう。

 

ヒマワリの栽培比較実験を行う

話を一気に元に戻そう。とりあえず私は4つの植木鉢を買ってきた。その植木鉢で、フトミミズ飼育箱から出る廃土や排水をやりながら、1本ずつヒマワリを育てることにした。このヒマワリだ。

 


楽天市場で探す

 

背丈が大きくなっては鉢が倒れて困るので、標準で1メートルくらいに留まるものにした。1本立ち品種を選んだのも、単純な大きさ比較がしやすいからだ。条件などは実験ページに記す。

 

なお、はじめから宣言しておくが、当コーナーでは全体を通じて鉢の中に生きたミミズを入れることは一切しない。ヒマワリを育てるために日向に置いた植木鉢の温度にミミズが耐えられるわけがないからだ。だから、上で挙げた「土壌の撹拌、通気性の確保」という利点は得られない物として考えなければならない。

 

2019年からは、紙ベースの飼育床土を封印し、腐葉土とケト土をベースにした飼育床土を新たに考案している。これに伴って、2019年の園芸実験もこの土の実験という事になる。いきなりミミズ飼育、ヒマワリ育成の両輪で実験をまわしていく。市販の培養土との比較があるので、年が違っても参考にはなるだろう。

 

それでは、個別の実験について見ていこう。

 

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