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大きな魚を手軽に釣ろう

錦鯉が釣れたことへの所感

また誰かが野に放った錦鯉を釣ってしまいました。

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放流した人には罪の意識はないかもしれません。魚のためを思ったのかもしれません。

「鯉がいる池に鯉を放って何が悪いの?」と思うかもしれません。

 

ですが、魚は分化していない同種の魚でも水系によって遺伝子が少しずつ異なります。

 

この遺伝子から、地殻変動等によって水系が分断された時期や詳細がわかって地質学に役立ったり、昔の人がいつどこの魚をその水系に入れたのかとか、いつの時代に大洪水があったかなどがわかって考古学に役立ったりすることもあるのです。

 

それだけではありません。生物の細胞は、その種の細胞しか作り出さない特殊な物質があったりします。抗生物質が最たるものですが、未来の難病治療など、固有生物や希少生物が何かに貢献する可能性がすべての種にあるのです。

 

 

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遺伝子の多様性によるサービスによって、人間の生活は成り立っています。酸素、気温、鉄ですらそうです。

 

安易に「魚がいる川」を目指して魚を放流している自治体などもありますが、遺伝子を汚染するので、やってはいけません。

 

厳密に「野鯉」と言われ日本に昔からいるとされる鯉は、この養殖鯉の放流を原因とする遺伝子汚染によって絶滅の危機なのです。今や原種の野鯉は琵琶湖にしかいないと言われています。

 

また、水槽や池などで一度飼った魚は、固有の病原を持っていたりするリスクがあります。鯉を放った結果、その水系の鯉が絶滅するということもあり得ることです。この場合、同じ水系であっても放流はダメです。

 

本来その種がいない水系に放流するとなれば論外です。こういうのを国内外来種といって、生態系を破壊します。特に鯉というのは底の泥を巻き上げて水質を富栄養化させたり、貝や水生昆虫、魚卵を根こそぎ食べたりしてしまうので世界の侵略的外来種100に挙がっているほどです。

 

北米やオーストラリアでは大きな問題になっています。

 

日本国内でも、「善意」で放たれた鯉によって、ブルーギルと巨大な養殖鯉(色鯉とは限らない)しかいなくなった死の池が山ほどあるのです。

 

大きくなったり、産卵して増えてたりして飼いきれなくても、放流してはいけません。魚を飼う時には手放す、否、最後には〆る覚悟すら必要です。


などなど考えているときに、2匹目、病気の鯉が釣れました。カラムナリス症の鰭ぐされ病と思われます。

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放流は、こういう魚を増やすこともあります。これも養殖鯉の形をしていますね。

スポーツフィッシングの対象として外来種を放流するなどは論外で、漁業としての放流にも私は反対です。遺伝子を汚染し、画期的な学問、そこから生まれる様々な工学、医学、歴史学、地学を邪魔する可能性があるからです。

 


釣り堀・管理釣り場は、こういった理由で私はよっぽどのことがないと利用しません。

ただ前述のように考古学的には、エンジンすらないような時代の移植種は、ある意味で価値があるかもしれません。

私の釣りターゲットに外来種が多いのは、別にここで述べたこととは関係ありませんけどね。「手軽に大きな魚が釣れる」から釣っているだけです。好んで釣ることと、放流することは全く別問題です。

 


STOP放流!